番外編: この邦題がすごい!

の映画につけられた邦題を眺めていると、なんて素晴らしい題名なんだ!と、もうそれだけで感心してしまう、美しい日本語のタイトルがあります。映画の内容が面白いかどうかはわかりませんが、その題名を目にしただけで、とりあえず観てみたくなるというか、あれこれストーリーを想像してしまうというか、そんな、感受性を刺激してやまないようなやつです。


いい題名の映画はそれだけで観たくなる

我が道を往く(バリー・フィッツジェラルド)

とえば、「我が道を往く」(1946)。これ、高校生のときにキネマ旬報の歴代ベストテンが載っている本で題名を目にし、とても観てみたくなった映画の一本です。原題は、"Going My Way"。邦題は、原題そのままの直訳なんですが...いいですね、このコトバの響きと、交互に並んだ漢字とひらがなの、実にバランスのとれた組み合わせ。それにこの日本語センス。すぐに思い浮かびそうでいて、なかなか「我が道を往く」、とはならないんじゃないでしょうか。これなんか、もし現代の映画だとしたら、「ゴーイング・マイ・ウェイ」とカタカナ読みそのまんまの邦題が付けられてしまう可能性がかなり高そうです。あくまで趣味の問題ですが、もしこの映画の邦題が「ゴーイング・マイ・ウェイ」だったら、おそらく私としては、題名を見ただけで観てみてみたいなぁという気にはならなかったように思います。「我が道を往く」と付けてくれてありがとう、おかげでいい映画にめぐりあうことができました、と感謝したい気持ちです。


まあいずれにしろ、上手なタイトルはもうそれだけで十分なフックになるというか、やっぱりネーミングはとても重要。昨今、原題をそのままカタカナにしたものが多くなっている気がしますが、これはなぜなんでしょう...昔に比べれば、(特に英語のタイトルは)そのままカタカナにして意味のわかる人が増えているのだろうとは思いますが、それでもさっぱり意味不明(映画を観てすら)のものがけっこうあったりもします。なんだか安易にカタカナを選択しているような気がしないでもありませんが、でもなにしろ億単位の金がかかったビジネス、何かしらロジカルな理由があるに決まっているはずなのです(もしかして原題そのままのカタカナがいちばん集客力が高いなんていうマーケット・リサーチの結果でもあるのでしょうか)。配給会社の宣伝部の方にでもぜひうかがってみたいものです。

さて、「我が道を往く」の場合、そもそも原題の"Going My Way"自体がその響きとといい、物語の核心をずばり突いている点といい、そもそも素晴らしいものなのですが、中には原題があまりよいとは思えない、あるいはそのまま直訳しても日本では意味が通じないようなタイトルもあります。私が思う前者の例は、例えば"Duel"。スティーブン・スピルバーグの「激突!」(1971年)です。"Duel"は"決闘"という意味ですが、映画を観終わってみれば、あれって決闘かぁ?というような内容なのであり(どう考えてもあのおじさんは決闘どころか必死に逃げまわっていて、最後の最後で"窮鼠猫を噛む"的に反撃するだけでしょう)、巨大トラックがクルマをがしがし小突きまわすニュアンスの伝わってくる邦題の方が遙かによいものであるように思えます。

そのまま直訳しても意味が通じない原題の例として真っ先に思い浮かぶのが、"First Blood"。シルベスター・スタローン主演、テッド・コッチェフ監督の「ランボー」(1982年)。"First Blood"を直訳すると"最初の血"。その意味するところは"最初に流された血"すなわち"先制攻撃"で、ずばりこの映画のテーマそのものだったりするのですが、仮に"先制攻撃"と訳してしまうと、"First Blood"の語感に感じる生々しさやバイオレンスの含み(すなわち"First Blood"というタイトルに込められたもうひとつの含み)が見事に薄れてしまったりします。で、邦題は原題にこだわることなくずばり安直ともとられかねない主人公の名前が付けられていたわけですが、その語感にいかにもバイオレンス・アクションに相応しいインパクトがあって(なにせ"ランボー"です)、かなりよかったのではないでしょうか(ちなみに公開当時中学生だった私には滅茶苦茶かっこいいタイトルに思えた)。ちなみに続編では原題にも"ランボー"が付いて"Rambo: First Blood Part2"に、さらにその次の作品はそのものずばりの"Rambo III"となりました。

というわけで、上記のふたつは原題から離れた邦題としてGoodと思える例ですが、逆に、これはいかがと思う邦題もそれこそ山のようにあったります。ひとつだけ、実害のあったもの(というほどのものではありませんが)を例として挙げると、それが「愛と青春の旅立ち」。テイラー・ハックフォード監督による、1982年公開の映画です。日本でも大ヒットしたところをみると、これおそらく、マーケティング的には間違っていない、というか、かなり正しくて素晴らしい邦題だったんじゃないかとは思うのです。しかし当時の私は男子校生。こういう甘いロマンチックさを無闇に漂わすコトバ(ポスターもそんな感じでしたね)に対し脊髄反射的に反感を持つ時期だったため、とうぜん観に行くわけもなく、またそのときに抱いた嫌悪感がその後もどこかに残っていたらしく、どうせベタベタな恋愛映画だろうとタカをくくってずいぶんと長い間、観ないで過ごしてきたわけです。ところが数年前、NHK BSでやっているのをついに観る機会があり、想像していた内容とあまりに違っていたのでかなりびっくりしました。もちろん恋愛もありますが、どっちかというとこれ、青春根性物語じゃん!!で、原題をよく見たら、"An Officer and a Gentleman"。これ、軍人の行動規範みたいなフレーズで、"士官は紳士でなくてはいけない"という意味の言い回し(スケールは違いますが、巨人軍の選手は紳士たれ、と一緒ですね)...クライマックスの卒業式のシーンを思い浮かべると、実にぴったりのいいタイトルだなと思います。まあ確かに、これも日本語に直訳することの不可能なタイトルではありますが、いくらなんでも「愛と青春の旅立ち」は内容とかなり違うのでは(日本語として悪くない響きだとは思いますが)...内容がけっこう面白かったただけに、もっと早く観てもよかった、とちょっと愕然としてしまったのでした。



"難易度ウルトラC"の傑作邦題を選んでみる

置きが長くなってしまいましたが、邦題について漠然と思いをめぐらしているうち、ふと頭をよぎったのが、そもそも素晴らしいと思った邦題って、どんなのがあったっけ、ということ。そうだ、今回のブログ・ネタとして一覧にしてみよう、と考えつき、さっそく書き出しはじめてみたのですが...やり始めてみると、これがあるわあるわで、素晴らしいと思う邦題を単純に数え出すとキリがなくなりそう、ということに思いいたりました。

たとえば前述の「我が道を往く」。好きなタイトルですが、これなんか、そもそも原題が素晴らしいわけで、そんなのもう、いくらでもあるわけです。確かに「我が道を往く」の場合、そのチョイスした日本語のセンスがよいと思うわけですが、それでも特に昔の映画なんかには、そういったものがかなりある...で、ここで方針転換。今回は、原題があまりよくない、あるいは原題の意味が日本語に変換できない、といったものを、アクロバティックな意訳、あるいはバーンとぜんぜん違う角度から独自にネーミングした邦題で、素晴らしい(原題の直訳よりも、この邦題にしてよかったね)と思えるもののみに絞って書き出してみることにしました(こう決める前に「我が道を往く」のイラストを書いてしまいました。もったいないので載せます)。

よって、「我が道を往く」以外にも、たとえば、「風とともに去りぬ」とか、「雨に唄えば」というようなものも今回は基準外。いずれも、"去りぬ"という語尾や"雨の中"を"雨に"にしてしまう点にセンスを感じるわけですが、それぞれ"Gone with the Wind""に"Singin' in the Rain"という原題の直訳なのでパスです。ほかにも、「お熱いのがお好き」なんてのも、艶笑話という雰囲気をかもし出す日本語をあてて最高にうまいタイトルだと思うのですが、限りなく"Some Like It Hot""という原題の直訳なのでパス。私が最高に好きな「駅馬車」という邦題も、その命名の過程でいろいろ経緯はあったにせよ、原題である"Stagecoach"の直訳。よって基準外。あくまで、"難易度ウルトラC"の邦題のみを書き出してみました。

むろん、内容を知らないと邦題のよしあし(内容に沿ったものかどうか)が判断できないので、あくまで観たことのある映画に限ってます。観たことがなくても、邦題を見ただけで幻想が膨らみまくっている映画もけっこうあるのですが...これらも今回はパスです。



「この邦題がすごい!」ベスト50

とまあ、こんな感じで選んでみたのが、下の一覧。そもそも映画を作った人たちが、精魂こめて考えた原題がベストなのは当たり前のような気がしますが、それでもけっこうありました、"難易度ウルトラC"の素晴らしい邦題。題して「この邦題がすごい」(某ミステリー小説ガイドブックのぱくり)。ベスト100、といきたいところでしたが、さすがに原題を凌駕する(と私が思える)邦題はそこまで思いつけず、べスト50。順番付け出すと悩みだしそうなので、とりあえず映画の製作順に並べています。

 この邦題がすごい ベスト50(映画の製作年順)
映画名(邦題)原題原題の直訳ひとこと
黄金狂時代
(1925)
The Gold Rushゴールド・ラッシュ直訳も悪くないと思いますが、とにかく「○○狂時代」というフレーズがすごい発明(それともこの映画以前からあったフレーズなんでしょうか...いやそうは思えないな、やっぱり)。
巴里祭
(1933)
Quatorze Juillet7月14日原題はフランスの革命記念日を意味しています。で、邦題の巴里祭は、この映画のためにひねくりだされたコトバ。以来、日本ではフランス革命記念日をこう呼ぶようになったそうです。最高のネーミング!
望郷
(1937)
PePe le Mokoペペ・ル・モコ原題は主人公の名前。漢字二文字の邦題は、とかく内容と乖離しがちなものですが、これは別。全編に通底する主人公の心情をずばりひとことで表現して見事です。
バルカン超特急
(1938)
The Lady Vanishesレディ消失原題=このサスペンス映画のナゾ。わかりやすくてよいのですが、なんといってもエキゾチックな邦題に幻想が膨らみました。
心の旅路
(1942)
Random Harvest思いがけない収穫ザッツ・メロドラマ。戦争で記憶喪失になった主人公。やがて頭を打って記憶が戻るものの、今度は記憶喪失中の記憶がなくなってしまいます。それに翻弄されながらも、主人公を愛し続けるヒロイン。二人の心の遍歴をつづったこの映画にふさわしいロマンティックな邦題です。
三つ数えろ
(1946)
The Big Sleep大いなる眠り「大いなる眠り」は、原書の邦訳タイトル。で、映画の邦題が「三つ数えろ」。でも、1978年のリメイク作の邦題は「大いなる眠り」...と、ややこしい。「大いなる眠り」とは、小説の中で、フィリップ・マーロウが土中の死者を形容したことば。「大いなる眠り」が正しいタイトルであることを百も承知の上で、しかしそれでも、「三つ数えろ」はいいタイトルだと思います、いかにもハードボイルドっぽい響きで。
虹を掴む男
(1947)
The Secret Life of Walter Mittyウォルター・ミティの秘密の人生白昼夢にふける癖(というか習慣)のある主人公。秘密の人生とはその白昼夢での大活躍のこと。というわけで原題でもいいのですが、邦題はその夢想家っぷりを、素晴らしい詩的感覚でもって表現しています。
黄金
(1948)
The Treasure of the Sierra Madreシエラ・マドレの財宝シエラ・マドレとはメキシコ中央部の山脈。邦題は、シンプルに黄金。で、映画を見終わって思い浮かぶコトバといえば"黄金"。ど真ん中の剛速球、完璧な邦題です。
踊る大紐育
(1949)
On the Townオン・ザ・タウン"踊る-"のフレーズは、おそらく前年の「踊る海賊」からの続き(主役はどちらもジーン・ケリー)。紐育はニューヨークですね。クラシカルでいい味出してます。ジーン・ケリーの陽気でスケールの大きいダンスにぴったりの邦題です(続編は「いつも上天気」。原題の直訳ですが、こちらも日本語の選択センスが○)。
夏の嵐
(1954)
Senso官能原作小説の邦訳タイトルが「官能」。でも、映画観ても、あまり"官能"というイメージではないんですよね。甘さよりも激しさを感じる映画。まさに"夏の嵐"のような主人公の狂おしい熱情をあらわして、邦題の方が断然よいと思います。
麗しのサブリナ
(1954)
Sabrinaサブリナ1995年のリメイクの邦題は「サブリナ」でした。でもこの映画はやっぱり"麗しの"がつかないと雰囲気が出ません。"麗しの"...美しい日本語です。
ダイヤルMを廻せ!
(1954)
Dial M for Murder殺すためにMをダイヤルしろ(もしくはMに電話しろ)これはほとんど直訳の邦題なのですが、ちょっと例外中の例外。"Dial M"というのはふたつ意味があって、ひとつは単純に、"M"というダイヤルを廻すという意味。といっても日本では一見意味不明なのですが、アメリカの電話には各番号にアルファベットが割り振られているので、一応意味が通ります。でも、これはあくまで言葉遊び。二つ目は、"M"(物語のヒロイン、マーゴの頭文字)に電話しろ、つまりマーゴに電話しろ、という意味。さらに、"M"はMurder(殺人)の頭文字と韻を踏んでいたりもします。映画では、マーゴ宛にかかってくる電話を合図にマーゴを殺害するという計画殺人が企てられているのですが、要するにこの原題は、(マーゴを)殺すため、"M"(マーゴ)に電話しろ(あるいは言葉遊びとして、"M"をダイヤルしろ)という意味なわけです。要するに、これはどう直訳しても日本語では意味が通じないし、もともとの味わいも消えてしまうという凝ったタイトル...にもかかわらず、そこを強引に直訳してしまってたのがこの邦題。なんのこっちゃ?で意味不明なのですが、なぜかサスペンスにふさわしい異様な迫力を持つ摩訶不思議なタイトルです。
翼よ!あれが巴里の灯だ  
(1956)
The Spirit of St. Louisスピリット・オブ・セントルイス号スピリット・オブ・セントルイス号とは、この映画の主人公、チャールズ・リンドバーグが、大西洋単独無着陸横断を成し遂げたときの愛機の名称。で、邦題は、リンドバーグの自伝の邦訳タイトル。前人未到の冒険の完遂を目前にしてパリの灯を目にしたリンドバーグの感動と高揚感を伝えてこれ以上のタイトルはありえないでしょう。映画オリジナルではないとはいえ、名タイトル中の名タイトルじゃないでしょうか。こんなドラマティックなタイトル、普通、思いつきません!
現金に体を張れ
(1956)
The Killing一攫千金"現金"は、"げんなま"と読みます。このコトバは、ジャック・ベッケル監督の「現金に手を出すな」(1954)の影響でしょう。ちなみにこの映画の原題は"Touchez pas au Grisbi"。こちらは直訳です。
戦場にかける橋
(1957)
Bridge on The River Kwaiクワイ河にかかる橋シンプルな原題に比べ、邦題がダブル・ミーニングになっているという珍しいケース。"かける"を"かかる"にするだけで含意が増すわけで、当たり前ですが、コトバというのは工夫ひとつでがらっと意味が変わりますね。面白いです。
モンパルナスの灯
(1958)
Montparnasse 19モンパルナス19原題に"19"と付けたのは、モディリアーニを通して1900年代前半の時代を描こうと考えたジャック・ベッケル監督の意向だそう。しかしひたすらモディリアーニの苦境をつづったこの映画、どう考えても、一厘の温もり(妻との生活)を感じさせるような悲哀感ただよう邦題の方がふさわしい気がします。
勝手にしやがれ
(1959)
A Bout de Souffle息切れ邦題は、劇中のジャン=ポール・ベルモンドのセリフから。原題も映画の内容にふさわしいものですが、この邦題のかもしだす気分は、まさにこの作品そのものという感じ。
北北西に進路を取れ
(1959)
North by Northwest微北北西North by Northwestという気象用語はなく、正しくはNorthwest by North(北西微北)。ヒッチコックいわく、主人公の混乱をあらわしているそうで、実にヒッチコックらしい洒落たタイトルですが直訳すると左記のとおりでこれまた意味不明。で、邦題の"北北西"は英語にすると"North Northwest"。明らかにおかしいわけです。しかしこの、「ざっとあってりゃいいんだ!」とでも言わんばかりのアバウトすぎる邦題、口にしてみれば非常にいい語感で勢いの感じられるもの...ヒッチコックのはこんなのばかり。
アパートの鍵貸します
(1960)
The Apartmentアパートメント(あるいはマンションか?)「アパートの鍵貸します」参照!
甘い生活
(1960)
La dolce vita甘い人生原題と少し違うようでいて、かなり違うともいえる邦題。映画で展開する刹那的な日々の描写を観ていると、"人生"よりも"生活"の方がしっくりくるように思えました。
史上最大の作戦
(1962)
The Longest Dayもっとも長い日原題は、連合軍のノルマンディ上陸作戦、Dデイのことを言っているわけですが、それを水野晴郎氏が「史上最大の作戦」と名づけたそうです。オールスター・キャストにぴったりの、実にスケールのでかいエクセレントな邦題。ビバ!晴郎。
突然炎のごとく
(1962)
Jules et Jimジュールとジム原題は、一人の女性を愛する二人の男の名前。原作小説もこのタイトル。この二人の関係性が奇妙で、同じ男としてもちょっと理解しがたかったのですが、女性の言動はなんとなく腑に落ちるものがありました(共感はしませんが)。で、邦題はこの女性の心の動きを表現したもの。一回見たら忘れられないような、非常に印象の強いタイトルだと思うのですが、来日したトリュフォー監督は邦題を知って、意味がわからないと首をひねったそうです。
鬼火
(1963)
Le Feu folletゆらめく炎左記の直訳は、原作小説の邦訳タイトル。ゆらめく炎といえばすぐに思い浮かぶのが鬼火(ひとだま)。しかも主人公の鬼気迫る絶望した魂をあらわすのに、これ以上ぴったりくるタイトルはないように思えます。
その男ゾルバ
(1964)
Zorba the Greekギリシャ人、ゾルバいいですね、"その男"というのが。男くさい男の中の男、アンソニー・クインの存在感をストレートに表現した力強い邦題です。
夕陽のガンマン
(1965)
Per qualche dollaro in piùもう少し多くのドルのためにセルジオ・レオーネの前作、「荒野の用心棒」の原題が"per un Pugno di Dollari"(一握りのドルのために)。で、本作の原題がこれ。ちょっとこのままというわけにはいかなないタイトルですね。で、原題との関係性ゼロですが、まるで絵が頭の中に浮かんでくるような素晴らしいこの邦題つけたのが、またも水野晴郎氏。すごいぞ晴郎!。この映画がヒットしたせいでしょう、同じレオーネ監督の"Duck, You Sucker"が「夕陽のギャングたち」"とつけられていましたが、これはいくらなんでも、のタイトルでした(原題もヒドいですが)。
ミクロの決死圏
(1966)
Fantastic Voyage素晴らしい旅いいですねえ、この邦題。タイトルを見て、前から観たくて仕方なかった映画。つい最近やっと観ることができました。で、感想はというと...観ないで幻想を膨らましたままにしておいた方がよかったかも、です。
おしゃれ泥棒
(1966)
How to Steal a Million100万ドルの盗み方なんといっても主役はオードリー・ヘップバーン。この原題ではちょっと味気ないでしょう。邦題の方が、より映画の雰囲気を伝えているタイトルだと思います。
テキサスの五人の仲間
(1966)
A Big Hand for a Little Ladyかわいいご婦人の
勝負手
あっと驚く邦題の最高傑作。最初この原稿を書いたとき、この映画のことをすっかり忘れてました。西部のある町で年に一度、町の大金持ちが5人が集って繰り広げられるポーカーの大勝負。そこに旅の途中の3人家族があらわれて...
俺たちに明日はない
(1967)
Bonnie and Clydeボニーとクライド原題は登場人物の人名。禁酒法時代の有名なギャングなでので、名前を見ただけでアメリカ人はぴんとくるのかもしれませんが、それはあくまでもアメリカの話。邦題は、アメリカン・ニューシネマの幕開けにふさわしい、実に刹那的でそれらしいタイトルです。
華麗なる賭け
(1968)
The Thomas Crown Affairトーマス・クラウン事件原題のトーマス・クラウンは主人公の名前。邦題はフィッツジェラルドの「華麗なるギャッビー」からの連想でしょうか(主人公はどちらもお金持ち)。味気ない原題よりも、映画の雰囲気をよりうまく掴んでいる邦題だと思います。
明日に向って撃て!
(1969)
Butch Cassidy and the Sundance Kidブッチ・キャシディと
サンダンス・キッド
原題は主人公二人の名前。「俺たちに明日はない」の影響でついた邦題だと思いますが、映画の雰囲気と内容を伝える、うまいタイトルだと思います。
激突!
(1971)
Duel決闘本文参照!
燃えよドラゴン
(1971)
Enter the Dragonドラゴンがやってくる書いてみて直訳も案外イケル...などと思いましたが、やっぱり「燃えよドラゴン」の迫力にはかなうわけがない。それにしても"燃えよ"なんてよく思いついたものです。司馬遼太郎の小説に「燃えよ剣」という新撰組の話がありますが(1962-1964 雑誌連載)、そのあたりからの連想でしょうか。
恐怖のメロディ
(1971)
Play Misty for Meミスティをお願い原題のミスティは曲名。ある女がラジオにこの曲を繰り返しリクエストするのですが、ちょっと意訳ぎみに訳してみたらこっちも悪くない気がしてきました。
小さな恋のメロディ
(1971)
Melodyメロディ原題のメロディは、主人公の女の子の名前。邦題はその意味も損なうことなく、この映画のすべてを説明尽くす詩的なものとなっています。見事。
ルードウィヒ/神々の黄昏
(1973)
Ludwigルードウィヒ副題の"神々の黄昏"は、ワーグナー作のオペラ「ニーベルングの指環」の章題。ワグナーに心酔しきっているルードウィヒを描いた映画にふさわしい、またこの映画を象徴するかのような幻想感が溢れていて好きな副題だったのですが、最近のDVDでは原題のとおりただの「ルートウィヒ」という表記になっています。
007 死ぬのは奴らだ
(1973)
Live And Let Die生きろ、そして殺せ原題は英語のフレーズ、Live and let live(他人に寛容たれ)のもじり。これも英語だから意味のあるタイトルで、この味わいの翻訳は不可能。邦題は思い切って意訳した大胆なものですが、007シリーズらしい力強いタイトルになっていると思います。
さすらいの航海
(1976)
Voyage of The Damned地獄に向かう航海"Damned"は神によって地獄に落とされる、の意(そういえばビスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」の英語タイトルが"Damned"でした)。ユダヤ人たちを乗せ、世界のどこにも行き場を失ってしまった客船の航海には、"さすらいの"がふさわしい気がします。
未知との遭遇
(1977)
Close Encounters of the Third Kind第三種接近遭遇原題は、アメリカの有名なUFO研究家が定義した、UFOとの遭遇レベルのある段階を指すことばだそうです。しかしそういわれても、マニア以外にはちょっとぴんとこないというか...ここは単純に、"遭遇"、だけでよいのではないかと思います。「未知との遭遇」。響きもいいし、イメージ喚起力も強い邦題ではないでしょうか。
戦争のはらわた
(1978)
Cross of Iron鉄十字勲章この邦題、映画を観るまではちょっとひいてしまう感じなのですが、しか映画を観終わっての感想は、まさにこの邦題がしっくりくる、というものです。ペキンパー流で戦争の本質をえぐってみせたというか。もうこのタイトルしかない、という感じです。とはいえ鑑賞前に嫌悪感をもよおさせるタイトルっていうのはマーケティング的には明らかに×な気も...ヒットしたんでしょうか。
燃えよデブゴン
(1979)
Enter The Fat Dragonデブ・ドラゴンがやってくる原題からして「燃えよドラゴン」のパロディなので、"燃えよ"とするのは安易なようでいて正しい。で、デブ・ドラゴンを縮めてデブゴンにしたところがこのタイトルのみそ。このあと「燃えよデブゴン2」みたいな感じで、サモ・ハンの映画というと片っ端からこのタイトルがつけられていました。まあデブゴンというコトバも相当安い感じなのですが...
地獄の黙示録
(1979)
Apocalypse Now現代の黙示録原題は、現代人に向かって突きつけた映画のテーマを暗示するもの。よって"地獄の..."としてしまっては、意味がなくなってしまうのですが、一方で、まさに地獄とでもいいたくなるような狂気と恐怖に満ちた映像の雰囲気をうまく象徴するような重厚さを表現できているタイトルだと思います。語呂もいいですし。
ランボー
(1982)
First Blood最初の血本文参照!
カメレオンマン
(1984)
Zeligゼリグ原題は主人公の名前(重要でない人物ないしはどこにでもいるような人、という意味もあります)。そのものずばりの邦題はちょっと安易な感じもするのですが、一目でぱっとニュアンスの伝わる上手な造語。これしかないかなぁと思います。
サボテン・ブラザース
(1986)
Three Amigos!3人のアミーゴ!メキシコが舞台の映画です。で、メキシコ=サボテンというこの安直としか思えない連想の邦題...しかし3年連続でメキシコに遊びに行っている私が断言します。その連想で正しいのだと。
告発の行方
(1988)
Accused刑事被告人クライマックスに向けた物語の焦点は、"刑事被告人"というよりもまさに"告発の行方"。核心をずばりと突いたいい邦題です。
ピアノ・レッスン
(1993)
The Pianoピアノ物語のキーとなるピアノ。そこに重きを置いた原題と、主人公たちの関係性に焦点を当てた邦題。やや茫漠とした印象の原題よりも邦題の方が好みです。
マルコヴィッチの穴
(1999)
Being John Malkovichジョン・マルコビッチになる原題もいい。でも邦題の方がこの映画の発想のアホらしさがよりビビッドに伝わってくるように思います。
オーロラの彼方へ
(2000)
Frequency周波数原題の「周波数」は、まさに物語のキー。なので悪くないタイトルだとも思うのですが、ちょっと地味。原題に比べて若干焦点のぼける邦題ですが、ストーリーの核心から外れることなく、この映画の持つ雰囲気をよりうまく伝えるものになっているように思います。
女はみんな生きている
(2001)
Chaos混沌原題も、どたばた感のあるこの映画の内容をひとことでうまく表現していると思うのですが、広いコトバすぎて、いったいどんな映画なのか、ちょっとイメージが湧きにくいのも事実。その点、邦題の方が、強くてしっかりものの女たちが登場する、いつものコリーヌ・セローの映画っぽさをうまく伝えています。

おまけ: この原題も邦題もヒドい
スパルタンX  
(1984)
快餐車(Wheels on Meals)キッチン・カー原題は、主人公たちが商売に使っているファーストフードのハイテク・キッチン・カーのこと。このクルマ、えっ、これがタイトル?という程度の活躍です。で、この英語タイトル、あきらかにおかしいです(直訳にすると「食事の上のクルマ」)。正しくは"Meals on Wheels"(「クルマの上の食事」)でしょう。実は邦題の「スパルタンX」も意味不明。全体のイメージが、数年前のジャッキー主演作、「プロジェクトA」からの連想は間違いないとして、"スパルタン"(スパルタ人)とは何なのか(スペインからの連想か?)、"X"とは何なのか(手がかりなし)...まあそうは言いながらも、そんなことこれっぽっちも疑問に思わなかった高校生のときにこのタイトルを刷り込まれてしまったので、これはこれでよし!(「スパルタンX」参照!)



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コメント

[C23]

ブログ訪問ありがとうございます。

こちらのイラストを見て感動しました。表情豊かで人間味が感じられるものや、躍動感があってインパクトのあるもの、渋みのあるクールなもの・・・モノクロでこんなに出来るという事がわかり、とても参考になりました。

>その題名を目にしただけで、とりあえず観てみたくなるというか・・・

わかります。ありますよね、いちど目にしただけで頭から離れなくなるような題名って。
”「この邦題がすごい!」ベスト50”をざっと見て、「そうそう」と思わず頷いてしまうものがいくつもありました。
わたしが今思いついた印象的な題名を挙げると、「ひとまず走れ」や「髪結いの亭主」などでしょうか。
題名がいいと、内容もよく覚えているものですよね。
  • 2008-12-19 12:06
  • 宵乃からす
  • URL
  • 編集

[C24] >宵乃からすさん

こちらこそ、遊びにきていただきありがとうございます。
イラストは特にモノクロに限るつもりもなかったのですが、なんとなくそれ1本でここまで来てしまいました(笑)。

宵乃さんこそ、キレイな色使いのかわいらしいイラストですね。すごい数の映画を紹介されているので、びっくりしました。私の方こそときどきお邪魔して参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

「ひとまず走れ」ってタイトル、なかなかいい味出てますね!未見ですが、機会があったら観てみようと思います。

[C27] 興味深く拝見 ♪

古い映画好きなんです ♪
望郷 なんて いい邦題。
意味を深く考えなかったけど、ダイヤルMをまわせ
原題はなにか怖いんですね
他にもこの邦題でよかった と言うのが多数あり ♪

いつもながら詳しさに関心します。

[C28] ご訪問ありがとうございました。

足跡を辿って参りました。

私は手術するほどではなかったのですが、10年ほど前に腰椎椎間板ヘルニアと診断されて依頼、毎年この時期には、腰痛とそれに伴う坐骨神経痛に悩まされています。

腰は、ほんと、困りますねー。
情けないやら痛いやらで、泣きたい時さえあります。

でも、手術のおかげで、私のような長引く症状がなければ、今は大変でしょうが、長い眼で見ればいいかもしれないですね。

ブログ、楽しく拝見させて頂きました。

イラストの味わい、スッキリとしたデザイン、
とても、素人の方とは信じられないのですが、
美術もしくは出版関係のお仕事でもされたことがあるんでしょうか?と思ってしまうほど。

「我が道を往く」という映画は初めて知りましたが、
確かに、原題と邦題の関係というのは、おもしろいですね。

Mardigrasさんも挙げられていますが、
私が真っ先に思いつく珠玉の邦題といえば、「勝手にしやがれ!」ですね。
ひょっとしたら原題を超えているのではないかと(笑)。
「突然、炎のごとく」(原題:ジュールとジム)など、ヌーヴェルヴァーグと呼ばれる作品には、邦題が洒落ていたり、原題・邦題問わず、心憎い、それこそこのタイトルだったら騙されてもいい!と思えるような、タイトル・ハンサムな作品が多い気もします。

「愛と青春の旅立ち」は、同感です。
商業的には、正しい邦題なのでしょうが、
原題は地味ながら味わい深い好さがありますね。

映画記事も、何篇か読ませていただいたのですが、
同じ好きな映画でも、私とは感じ方が一味違う辺りも、興味深く読ませて頂きました。

他の記事にも興味が湧きましたので、
また、ちょくちょく覗かせていただきます。

また一つ、更新が楽しみなブログと出逢えて嬉しいです。
  • 2008-12-21 09:08
  • シネマで現実逃避
  • URL
  • 編集

[C29] >whitypearlさん

昔の映画の方が、工夫を凝らしてるっていうか、味わいのあるタイトルのものが多いんですよね。

ヒッチコック映画のタイトルは、どれもみなサスペンスらしい、興味をそそるものばかりですね。次は、ヒッチコック作品について書く予定です!

[C30] >シネマで現実逃避さん

こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。

シネマで現実逃避さんも腰椎椎間板ヘルニアですか!
わかります、その辛さ...寒いと腰にくるんですよね。どうかお大事に...

私もかなり長い期間ヘルニアで、それでもなんとかだましだましやってきてたのですが、今年の秋に富士山に日帰り登山をした翌日、それまで経験したことないレベルの激痛におそわれ悲鳴を上げました。私の場合、坐骨神経痛が右足にきて、立ち上がれないどころか、もうどんな体勢をとってもダメ。眠ることさえできず、まさに泣くしかない状態...しばらく保存治療で耐えてたのですが、ブロック注射もまったく効かず、とうとう手術することにしました。そのおかげで奇跡のように痛みが消えたのですが、激痛に耐えているあいだに右足の神経がかなりダメージを受けたみたいで、筋力が低下して痺れが残っている状態です。根気よくリハビリするしかないみたいですが、でもあの痛みから解放されただけで、今はホント幸せです...

絵を観るのは昔から好きなんですが、描く方はまったくのド素人で、仕事もまったく違う方面...なので、ほめていただけると本当にうれしいです!

おっしゃるとおり、同じ映画でも十人十色で感じるものが違うというのが面白いところですよね。私もたまにお邪魔させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

[C60]

履歴から来ました。
けんさくまじんを訪れていただきありがとうございます。

「Gメンと間諜」

というのは,まさにあの時代だったから付けられた邦題ですね。

ところで,ずっと以前に仕事で台湾に行ったときに,映画のタイトルを通して漢字文化に触れてきました。

「金甲部隊」
「異体」
「致命的吸引力」
「豆豆先生」

最近は,どうなっているのでしょうね。

  • 2009-01-09 20:50
  • けんさくまじん
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[C61] >けんさくまじんさん

訪問&コメントありがとうございます。

思わずネットでチェックしてしました。へぇ~~という感じです。ほとんどクイズですね。

「致命的吸引力」は思わず笑ってしまいました。わかってみればまったくそんな感じ、という字面ですね。「豆豆先生」も最高です!

[C81]

タイトルって映画を観るうえでほんとに大事ですよね。
一覧を見て、観てみたくなった作品がけっこうありました。
ステキな邦題がついていると、それだけで面白そうな気分になりますし(笑)

ちょっと今は思いつきませんが、最近観てみたくなったのは
「潜水服は蝶の夢を見る」という邦題です。。。
「虹を掴む男」とか観てみたいですね~☆

[C83] >葉月さん

タイトルのかっこよさ次第で興味を持ったり持たなかったり、あるいはタイトルがうまく内容をあらわしていたり、またはぜんぜん関係なかったり...本当にタイトルは大事だと思います!でも最近はカタカナ・オンリーのニュートラルなものが多いですね。

「潜水服は蝶の夢を見る」ってブログに書かれてた映画ですね。観たことないんですが、かなり惹きつけられるタイトルですよね。本も読んでみたいです。

「虹を掴む男」はあまり期待しないで観たんですが、芸達者なダニー・ケイがかなり楽しめた映画でした。そのうちぜひ!

[C369] こんばんは☆

今年、映画を見ることを再開して、素晴らしい邦題だなぁ~と思った作品がいくつかあります。
一番素敵だと思ったのが「あなただけ今晩は」
それから「子熊物語」
あと最近の作品ですが「奇跡のシンフォニー」です。

ずっと昔に見たのですが「アラバマ物語」も素敵と思います☆
日本語って、うまく書けないけど、ホントに素晴らしい言葉の文化があると思います。

私の若い頃は、ちょうど「素晴らしい邦題から、原題をそのままカタカナにする、のが流行る」という移行期で、ガックリするようなタイトルの作品が多かったです。
その中で「ヤング・ゼネレーション」という作品は、原題と違うのですが、とても印象的でした♪
  • 2009-10-18 19:06
  • サイ
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  • 編集

[C375] >サイさん

こんにちは~、過去記事へのコメント、ありがとうございます!
やっぱり日本人にとっては、日本語でできたタイトルの方がイメージしやすいし、しかもよい出来のものは言外の意味も汲み取れたりして、観る前から幻想が広がりますよね。

おお、「あなただけ今晩は」 、実は、私もリストに入れようかどうか、迷ったものなのですよ!これ、いい邦題ですよね!

あっ、「アラバマ物語」、、、さっきほかの方からいただいたコメントのご返事に、好きな法廷映画を並べて書いたのですが、この映画のことをすっかり忘れてました。。。(サイさんのコメントとぜんぜん関係なくてすみません!)

「子熊物語」は、実はサイさんのご意見とは反対で(ゴメンナサイ!)、私は原題のThe Bear(ただの「熊」)の方が好きなんですよ(というのも、このタイトルをみて子供向けの内容かと思ってしまい、長らくスルーしてしまってたので...)。でもこれ、ホント美しい映画ですよね!!

「奇跡のシンフォニー」と「ヤング・ゼネレーション」は観たことないのですが、どちらも原題とはぜんぜん違うタイトルみたいですね。特に「ヤング・ゼネレーション」の方は面白そう!機会があったら、忘れずに観てみますね~!

[C1094] 最近の邦題にもの申す!

1992年のフランス映画「可愛いだけじゃダメかしら(原題Toxic Affair)」,上手な邦題だと思いました.

いつの頃からか,英語の原題をそのまま日本語表記にする風潮になってしまいましたね.例えば「ヒドゥン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「エクゼクティブ・デシジョン」「グッドフェローズ」「ア・フュー・グッドメン」極めつけは「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」...おいおい,ましな邦題考えろよ!と思わず突っ込んでいました.私が名作と信ずる「ヒドゥン」なんて,原題”The thing”の「遊星からの物体X」なんて好例もあったじゃないですか,「潜む物体」「潜む奴ら」なんてどうでしょう,,,ヒットしないな,私にはセンスが無い...
思うに配給する際に勝手な邦題つけるな,なんて注文があるんでしょうかね.キューブリックなど,字幕についても注文をつけていたらしいですから.なおキューブリック映画で最難関邦題は,やはり「博士の異常な愛情 また私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」ですよね.「異常愛博士」と直訳しても,この映画の主題が伝わりませんものね,相当苦労した邦題だったのだろうと推察します.確かドイツから亡命した主人公(?)のドイツ語の異常愛をそのまま英訳した名前だったかと記憶しておりますが.

管理人さんは観ましたでしょうか,私にとってはここ最近の感銘した映画(DVDで観たのでは絶対にだめ,映画館で見るべき映画という意味で)であった「ゼロ・グラビティ」ですが,原題は”Gravity”.何故に邦題に「ゼロ」を付けたのだ!これには怒りを感じました.(ご覧になっていないならこの先は読まないでください)

この映画は無重力状態が主題ではなく,ラストに主人公が地球に帰って,川から這い上がり,そして重力を実感して初めて助かったということ,生きているということを実感し,そして唐突に題名である”Gravity”という文字出ることに,主題分かるようにしてあるのに,何という余計な一文字を!(そこ至るまでに主人公がつかの間の安息を迎えるシーンでの格好は子宮内の胎児そのものの姿勢,そして最後の水は羊水というような分かりやすい演出,同じ宇宙ものとして「2001年宇宙の旅」を意識して名作の仲間入りをしようしているのがやや鼻につきましたが).このような悪い例は多々あると思います.

我が愛する”Night of the living dead”の正式な続編”Return of the living dead”の邦題を「バタリアン」とし,さらにタールマン,オバンバなど勝手にネーミングしていた80年代が懐かしいですなぁ...ということに同調してくれる人がどれほどいてくれるでしょうか.

長文,駄文大変失礼しました,書いている内に色々思い出してしまったもので.
  • 2014-02-24 23:08
  • きるごあ
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  • 編集

[C1096] >きるごあさん

「可愛いだけじゃダメかしら」、、、観たことないですけど、いいですね~、「日曜はダメよ」みたいな味で。

英語の原題カタカナ表記は、もちろんそうでなくてはならないものもあると思いますが、猫も杓子もの風潮は、この映画をヒットさせてやろうという、熱があまり感じられないというか、やっぱり、つまらないですね。もっとも、原題のカタカナ表記であるべきと思われるのに、かえってヘンな邦題を付けられるのも困りますが(「裏切りのサーカス」のように)。。。

まだ映画を観初めのころ、たとえばキネマ旬報の歴代ランキングあたりにずらりと並んだ、まだ観ぬ昔の映画の独創的で格調高く、ぴしっとえり抜かれたことばで作られた邦題それ自体の響きの美しさに、映画を観るまでもなく、うっとりわくわくさせられた記憶があります。観る側にとっては、タイトルもまた、「映画」の重要な一部、お楽しみのひとつなんだよな~と改めて思います。

「博士の異常な愛情(以下略)」は、もしいまの時代にリメイクされたら、おそらく、「Dr.ストレンジラブ」になることでしょうね。そうそう、「虹を掴む男」のリメイクが、「LIFE!」というタイトルで日本公開されるようですね(原題はオリジナル作と変わらず)。予告編を見る限り面白そうでしたが、邦題は、やっぱりオリジナルの方がよいです。「遊星からの物体X」の原題、知りませんでした。なるほど、これもかなり飛躍した邦題だったのですねぇ~。

「ゼロ・グラビティ」は、観たい映画ですが、未見です。先日「めまい」を観にいったら3D上映をやっていて、はしごしようかどうか迷って結局やめました。まだやってるようなので、時間取れたら観てきたいと思います。

「バタリアン」、、、名前は知ってますが、ゾンビ系は、ほとんど観たことがないんですよ。お話にノれなくて、すみません。。。
  • 2014-02-27 00:18
  • Mardigras
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男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花
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この映画の原作がすごい!(国内編)
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「ツィゴイネルワイゼン」を訪ねて
2011年イラスト・カレンダー
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続・この映画の原作がすごい!(下)
シネマ・イラストレイテッド in TSUTAYA
「劔岳 点の記」を訪ねて
その後のシネマ・イラストレイテッド in TSUTAYA
「夜叉」を訪ねて
「ツィゴイネルワイゼン」を訪ねて(その2)
2014年イラスト・カレンダー
「砂の女」を訪ねて
「悪魔の手毬唄」を訪ねて
「武蔵野夫人」を訪ねて
「岳 -ガク-」を訪ねて
「ゼロの焦点」を訪ねて
「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」を訪ねて
「遥かなる山の呼び声」を訪ねて
「幸福の黄色いハンカチ」を訪ねて
「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を訪ねて
「裏切りのサーカス」を訪ねて

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