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番外編: この原作がすごい!(海外編)

The Cincinnati Kid

画も好きなのですが、読書(とくに小説)が大好きで、どこに行くときも(旅行も通勤も通院もお風呂もトイレもベットの中でも)本が欠かせません。映画のない人生は耐えられても、たぶん本のない人生は味気なさすぎて耐えられない...そもそもこのブログをはじめるときも、テーマを本の紹介にするか、映画の紹介にするか迷ったものです。

まあ、映画もおんなじですが、本というものがあるおかげで、人生がずいぶんと豊かになっている気がします。映画にない本のいいところは、場所を選ばないこと、手軽なこと、自分のペースで緩急をつけられること、そして小説であれば、頭の中であれやこれやと好きなように場面を想像できること、といったところでしょうか。どこにいようと、いったん本を開けば、それが虚構の物語であれ、誰かの人生の追体験であれ、自分の実人生とはまったく違う世界が目の前にぱっと開ける...特に小説の場合、よく書けてる本ほどイメージ喚起力に優れていて、映像が頭の中にぱっと浮かぶものです(シナリオのようにすべてが明示されている、という意味ではありません)。最高に面白い小説を読みながら、自分の想像力のまま、脳内で勝手に作り出した世界にひとときを過ごすことは、おそらくこれ以上はない、私にとってこの世で最高の暇つぶしです。


と、こんなマクラで始めてみましたが、今回は映画ではなく、本の紹介をたくらんでおりまして...いちおう映画のブログということにしているので、本は本でも映画の原作になっているものの中から、最高の面白本をご紹介したいと思います。ということで、題して、「この原作がすごい!」

あくまで"本"として面白いものを選んでみる
"本の紹介"ですので、映画の出来に関係なく、あくまで原作自体が面白ければよし、という基準で選んでみました(というか、映画と原作のどちらも最高!なんてものはそうそうありません)。最初は、原作を読んでいるだけでなく映画も観ているものを、ということでセレクトし始めたのですが、そうするとかなり数が限られてしまいそう...になったので、必ずしも映画を観てなくてもOK、というルールにしました(このあたりの決め事はいつもながら自由自在)。それからもうひとつ、面白いものをかまわず選んでいくと、どうにも特定の作家の作品の本数が多くなりそうだったので(とうぜんお気に入りの作家がいるわけで)...それはそれでちょっと芸がない、ということで、一作家につき一作品、という縛りをつけてみました。

で、面白かった本の題名をとにかく片っ端から思い出し、さらに映画化されているかどうかをチェックすること約2週間(おつかれ、自分)、どうにかこうにか、国内モノ、海外モノをあわせて100冊のリストができあがりました(これらのうちで映画も観たことがあるのは、だいたい3分の2くらい)。嗜好の偏りのせいもあって、なんとなくミステリー系が多くなってしまった気もしますが...しかし、いずれも自信を持って人にお奨めできる、筋金入りの面白原作本リストができたと思います。100冊の内訳は、海外モノ60冊に国内モノ40冊。100人の作家による100冊の本、です。

まずは海外モノから...
まとめて紹介するつもりでしたが、予想外に文字数が多くなってしまったので、2回に分けることにしました。ということで、まず今回は、海外の面白原作本60冊のご紹介。冒頭のイラストは、そのうちの一冊、リチャード・ジェサップの「シンシナティ・キッド」を映画化した、スティーブ・マックイーン主演の同名映画から。とことん硬質なギャンブル小説(そしてギャンブル映画)の大傑作です。

全部映画の原作、のつもりでしたが、ドラマの原作が海外モノ、国内モノあわせて4冊ほど混ざっています。これらについては、原作のみならずドラマもとても面白くて、どうしても外すに忍びなかったのでした。なにとぞご了承のほど。

小説名からAmazonの該当書籍のページにリンクしています。ご興味ある本のあらすじは、どうぞそちらでご確認を。なお、絶版になってしまっているものについてはリンクなしです。それにしてもけっこうありますね、絶版が。どれもこれも面白いのに...


この原作がすごい!(海外編) *原作名の五十音順
原作名著者映画化作品ひとこと
アイガー・サンクショントレヴェニアンアイガー・サンクション
(1975)
トレヴェニアンは寡作家で、長編小説は7作のみ。大好きな作家のひとりです。毎回趣向が違うのですが、本作は山岳冒険サスペンス(そんなジャンルがあるかどうかは不明)。映画化されているのは本作のみで、けっこう好きな映画です(数少ない山岳映画)。
サマセット・モーム雨(1932)私の短編小説オール・タイム・ベストのひとつ。主題うんぬんよりも、南の島で雨に降り込められた鬱勃感の描写が素晴らしい。映画は未見です。
嵐が丘エミリー・ブロンテ嵐が丘(1988)ほかメロドラマの古典。敬遠してたのですが、大学生の頃、おそるおそる読み出したら面白くて止まらなくなった覚えがあります。何度も映画化されているようですが、観たことがあるのは吉田喜重が監督した作品のみ。ほとんど記憶に残っていません。
荒鷲の要塞アリステア・
マクリーン
荒鷲の要塞
(1968)
ドイツ軍の難攻不落の山岳要塞に軟禁されたアメリカ軍将校を助け出すお話。マクリーンらしさの薄い作品なのですが、山が舞台ということもあって、私はいちばん好きです。映画はクリント・イーストウッドが準主役だったことしか覚えていません。
アンドロイドは電気羊
の夢を見るか?
フィリップ・K.ディックブレード・ランナー
(1982)
「ブレード・ランナー」参照!
愛しき者はすべて
去りゆく
デニス・ルヘインGone Baby Gone
(2007)
私立探偵"パトリック&アンジー・シリーズ"のうちのシリーズ最高傑作。クリントン元大統領が大ファンだそう。映画は日本未公開らしい...ルヘインは「ミスティック・リバー」が売れましたが、こっちのシリーズの方がはるかに面白い。
動く標的ロス・マクドナルド動く標的
(1966)
私立探偵"リュウ・アーチャー・シリーズ"の第一作。クラシカルなハードボイルドの中ではもっとも好きなシリーズです。私にとってのシリーズ最高作は「さむけ」。この作品に続き、二作目の「魔のプール」も「新・動く標的」という邦題で映画化されてます。主演はどちらもポール・ニューマン。ちょっとイメージが違うのですが、映画は映画としてどちらも楽しめました。
L.A.コンフィデンシャルジェイムズ・エルロイL.A.コンフィデンシャル
(1997)
エルロイ暗黒のL.A.四部作の第三作目。シリーズ中ナンバー・ワンのリーダビリティ。四作目の「ホワイト・ジャズ」あたりはもうまともな文章になっていません(しかし面白い)。映画も複雑なプロットを見事に映像化していて素晴らしかったです。第一作目の小説、「ブラック・ダリア」も傑作ですが、映画は残念ながら、行間から立ちのぼるクレイジーな熱を掬い取ることができていませんでした(デ・パルマ監督だけにかなり期待したのですが...)
大いなる遺産チャールズ・
ディケンズ
大いなる遺産
(1997)ほか
読んだのは社会人になってから。ディケンズは内容が古そうなのでずっと敬遠してたのですが、読み出したら止まらなくなり、その面白さに舌を巻きました。ロバード・ゴダード、チャールズ・パリサー、サラ・ウォーターズ...みんなディケンズがルーツなのだなということがよーくわかりました。時代を現代に移したアルフォンソ・キュアロン監督の映画も、ちょっと無理はありますが、面白く観ました。
堕ちる天使ウィリアム・
ヒョーツバーグ
エンゼル・ハート
(1987)
ジャンル・ミックス小説。ネタばれですが、ジョン・ディクスン・カーの「火刑法廷」のハードボイルド版(わかる人にはわかるはず)。こんなのはあとにも先にもこの小説しか知りません。映画は一見、編集に難あり、なのですが、観れば観るほどよくできた映画であることに気づかされます。かなり好きな一本!
カラマーゾフの兄弟フョードル・
ドストエフスキー
少年たち「カラマーゾフの兄弟」より(1990)
ほか
ドストエフスキーもかなり好きな作家ですが、どれかひとつといえばやっぱりこれ。何度も映画化されているようですが、ひとつも観たことありません。ドストエフスキー原作の映画でよかったものといえば、ビスコンティの「白夜」に黒澤明の「白痴」。
雨の朝パリに死すスコット・
フィッツジェラルド
雨の朝パリに死す
(1954)
大学生の頃、なぜかフィツジェラルドにかぶれました(なぜだか自分でもよくわかりませんが)。熱は冷めましたが、短編はいまでもけっこう好きです。この小説、邦題が角川文庫では「雨の朝パリに死す」、新潮文庫では「バビロン再訪」(こっちが原題のとおり)。両方読むまでてっきり違う話だと思っていました。
奇術師クリストファー・
プリースト
プレステージ
(2006)
幻想小説の傑作。本屋でタイトル見て即買いした本です。期待通りの面白さでした。映画は「ダークナイト」という傑作を生み出した、クリストファー・ノーラン監督とクリスチャン・ベールのタッグ。こっちもかなり面白かったです。
極大射程スティーヴン・
ハンター
ザ・シューター 極大射程
(2006)
ひどい邦題、しかし最高のアクション・エンターテインメント。「ダーティ・ホワイト・ボーイズ」、「ブラック・ライト」、「狩りのとき」と続く、"ボブ・リー・スワガー・シリーズ"の第一作です。このシリーズ、日本での出版順序がめちゃくちゃで、なんと第一作目の「極大射程」が一番最後に出ました。映画は案の定、いまひとつ。
クリムゾン・リバージャン−クリストフ
グランジェ
クリムゾン・リバー
(2000)
あまり期待しないで読んだのですが、予想外に面白かったスリラー。しかしぜんぜんフレンチ・ミステリーっぽくありません。映画もまあまあ楽しめました(山が出てくるから)。
警察署長スチュアート・ウッズ警察署長(1983) 
*TVドラマ
小説よりもテレビドラマを先に観ました。確かNHKで3夜連続で放映したのですが、もう次の日が待ちきれないほどに面白かったです。再放送、またはDVD化してくれないものでしょうか。小説は、ドラマを観た後に本屋で見つけてすぐに買いました。これも私のオール・タイム・ベストの一作。「草の根」という続編もあって(政治小説)、こっちもかなり面白かったです。
検察側の証人アガサ・クリスティ情婦
(1957)
クリスティから何かひとつ...と思ったのですが、よく考えると長編にあまり好きな作品がありません(「アクロイド殺し」だけ別格なのですが、映画化不可能)。ということで短編から。ビリー・ワイルダーの映画も例によって素晴らしいのですが、それにしてもこの「情婦」という邦題、映画史上のワースト・ワンといってもいい罪深さ。いったい何を考えてこんな邦題にしたのでしょうか。
荒野へジョン クラカワーイントゥ・ザ・ワイルド
(2008)
満たされていたはずの青年はなぜひとり荒野に旅立ち、そして死んだのか?クラカワーはフィールドに出向き、推理を重ねながら、死んだ若者の心に迫っていきます。しかし死者が相手のこと、もちろん真実は神のみぞ知る。映画がこれをどう描いたのか、どうしても観たかったのですが、腰痛で動けないうちにロード・ショウが終わってしまいました...クラカワーには、エベレスト遭難を題材にした「空へ」というルポもあります。こちらも最高。
黒衣の花嫁コーネル・ウーリッチ黒衣の花嫁
(1968)
ウィリアム・アイリッシュが別名義で書いた小説。高校生の頃に読んだ世評名高い「幻の女」は正直言ってあまりのれなかったのですが(いま読み返したらどうかはわからない)、つい最近読んだ本作はキレのよいサスペンスで楽しめました。フランソワ・トリュフォー監督が映画化していますが、未見。
災厄の町エラリー・クイーン配達されない三通の手紙
(1979)
クイーンからも1本、ということで「災厄の町」。映画は野村芳太郎監督の作品。中学生の頃にテレビで観て、かなり面白かった記憶があります。タイトルもよし。
西遊記呉承恩西遊記
(2007)
この世でもっとも面白いお話のひとつだと思ってます。小学生のときに岩浪少年文庫で読んで以来、いろんなバージョンを読んできましたが、つい数年前に岩波文庫から決定版ともいうべき新訳全10冊が刊行されました(とうぜん読んだ)。映画は興味ゼロです。
砂塵の町マックス・ブランド砂塵(1939)「第三の男」の末尾参照。
殺人者アーネスト・
ヘミングウェイ
殺人者(1946)
ほか
これも私の短編オール・タイム・ベスト。ハードボイルに分類されてきましたが、今の語彙で言えばノワールでしょう。映画はひとつも観たことがありません。あの短い話をどう膨らませているのか興味があります。
三国志演義羅貫中レッドクリフ
(2008)
映画の原作という意味(羅貫中作)では、中学生のときに岩浪少年文庫版の「三国志」を読んだことがあるくらい。直接の原作ではありませんが、なんといっても吉川英治版の「三国志」が最高です。映画の「レッドクリフ」は観ていません(ただジョン・ウー監督なので、どんなものかなんとなく想像はつきます)。何十年にもわたる群像劇であるところに面白みがあるので、エピソードの一部を取り出した映画では醍醐味が薄れてしまうと思うのですが、どんなものでしょう。どちらかというと、映画よりも、延々80話以上にわたる中国制作のテレビドラマを観てみたいです。
死にゆく者への祈りジャック・ヒギンズ死にゆく者への祈り
(1987)
ヒギンズといえば「鷲は舞い降りた」ですが、私にとってはこの作品がベスト。地味ですが緊密で穴のないプロット、アクションとサスペンスの絶妙なバランス、どこをとっても完璧な、冒険小説の大傑作です。映画化されていたとは知りませんでしたが、なんと主演はあぶらがのりまくっていた頃のミッキー・ローク。これは今すぐにでも観てみたい1本です。
死の接吻アイラ・レヴィン死の接吻
(1991)
私の海外長編モノのオール・タイム・ベストのひとつ。アイラ・レヴィンも寡作家ですが、トレヴェニアン同様にハズレがありません(「ローズマリーの息子」を除く)。「ブラジルから来た少年」は小説、映画ともに大傑作です(映画は本邦未公開...なぜだか不思議)。
シャーロック・ホームズ
の冒険
コナン・ドイルシャーロック・ホームズ
の冒険(1984-1994)
*TVドラマ
長短篇あわせて全60話。どれがベストということもありません。左記は第一短編集のタイトルです。NHKで放映した英国製作のドラマは、配役といい綿密な時代考証に基づいたセットや雰囲気といい、ほとんど完璧にホームズ世界を再現していてうれしくなりました。昔、ベーカー街にあるホームズの部屋を再現したアパートを訪れたことがあります。おのぼりさんみたいですが、あの時は本当に感激しました。
ジャッカルの日フレデリック・
フォーサイス
ジャッカルの日
(1973)
読んだのは高校生のとき。こんな面白い小説があったのか、と驚きました。虚実ないまぜにした情報小説のハシリのようなスリラーで、ミステリというと本格物ばかり読んでいた自分の目を違う方向にも向けてくれた作品です。フレッド・ジンネマン監督の映画も無名俳優をジャッカルに起用していて、暗殺者の匿名性がうまく表現されていました。またロード・ムービー好きとしては、ジャッカルがイタリアからフランスにクルマで旅する場面が最高。
ジャングル・ブックラディヤード・
キップリング
ジャングル・ブック
(1994)ほか
小学生の頃、岩波少年文庫版を夢中になって読みました。児童文学の大傑作です。カブ・スカウトに入っていたこともあって、やたらジャングル生活(とか野宿)にあこがれてしまったものです。
ジュラシック・パークマイケル・ クライトンジュラシック・パーク
(1993)
大人になったら古生物学者になって化石をほじくり出したいと思っていた幼い頃の夢を叶えてくれた小説、そして映画です。ストーリーはどうでもいいです。ありがとう、クライトン、ありがとう、スピルバーグ。
シンシナティ・キッドリチャード・
ジェサップ
シンシナティ・キッド
(1965)
映画を観てかなり経ってから、小説の邦訳が出版されました(2001年)。ギャンブル小説の大傑作です。「夜の大捜査線」のノーマン・ジュイソンが監督した映画も最高。ちなみに私のギャンブル映画ベスト・ファイブは、「ハスラー」、「テキサスの五人の仲間」、「スティング」、「麻雀放浪記」とこの映画。
シンプル・プランスコット・B.スミスシンプル・プラン
(1998)
スティーブン・キング推薦にロクな小説はない、の定説を打ち破ったスコット・スミスの処女作。静かな出だしから級数的といいたいような盛り上がり方をみせるサスペンス、尋常ではありません。映画もよくできていた記憶があります。昨年、実に13年ぶりにスコット・スミスの新作が出たのですが(「ルインズ 廃墟の奥へ」)、13年待たせてこれですか!?という感じでかなりがっくりさせられました。
スリーパーズロレンゾ・カルカテラスリーパーズ
(1996)
ミッチェル・スミスの「ストーン・シティ」、スティーブン・ハンターの「ダーティ・ホワイト・ボーイズ」、デニス・リーマンの「囚人同盟」、吉村昭の「破獄」と並ぶ、監獄小説の最高傑作。バリー・レヴィンソン監督の映画は配役のよさもあってかなり期待して観にいったのですが、原作のレベルには届きませんでした。
僧正殺人事件ヴァン・ダイン僧正殺人事件
(1930)
中学生のときに読んで、決定的にミステリが好きになった一冊。この本のせいで本格モノばかり読むようになりました。当時の文庫の裏表紙に映画のスチル・ショットが載っていて、以来、ずっと映画を観たいと思っているのですが、まったくかすりそうにありません。おそらくもう一生無理とあきらめてます。
大統領の陰謀―
ニクソンを追いつめた300日
B.ウッドワード、
C.バーンスタイン
大統領の陰謀
(1976)
ウォーターゲート事件をスクープした、ピューリッツアー受賞の渾身ルポルタージュ。映画も意外によかったですが、やっぱりオリジナルの迫真性にはかないませんでした。
血の収穫ダシール・ハメット用心棒
(1961)
黒澤明の「用心棒」にダシール・ハメットの名前はクレジットされてなかったと思いますが、明らかに「血の収穫」が元ネタでしょう。ハードボイルドはこの一作から始まりました。
動物農場ジョージ・オーウェル動物農場
(1954)
共産主義批判を超えて、より普遍的に革命の行く末と社会の腐敗の構造を喝破したとんでもない風刺小説。1954年製作のアニメーション映画が日本で公開されたのは、なんとつい昨年末のことだそう。
長いお別れレイモンド・
チャンドラー
ロング・グッドバイ
(1974)
チャンドラーからひとつ。「さらば愛しき女よ」も好きなのですが、再三読んでる方ということで「長いお別れ」を。一昨年あたり、村上春樹訳で新版が出ました。買うかどうか迷いましたが、よく考えたら清水俊二訳で満足しているので、やめときました。映画は未見です。
盗まれた街ジャック・フィニーSF/ボディ・スナッチャー
(1978)ほか
原作は、ユーモアもあれば格調の高さも感じられるSFの古典。四たび映画化された作品のうちで観たことがあるのは1978年のドナルド・サザーランド主演のものだけですが、ゾンビ映画のようになっていて悲しくなりました。この映画といい、2007年のニコール・キッドマン主演の「インベージョン」といい、なぜ小説の素晴らしい邦題、「盗まれた街」をタイトルに使わないのでしょうか?
薔薇の名前ウンベルト・エーコ薔薇の名前
(1986)
小説よりも映画が先です。封切り時に観ました。哲学者エーコが書いた小説の邦訳が出版されたのは、映画公開の5年後。物語世界そのものの迷宮のような小説で、おそらく半分も理解できてないと思いますが、単純に推理小説として楽しみました。この世界を見事に映像化した映画も素晴らしかったです。
羊たちの沈黙トマス・ハリス羊たちの沈黙
(1991)
「羊たちの沈黙」参照!
ファイア・フォックスクレイグ・トーマスファイア・フォックス
(1982)
冷戦時代のスパイ・アクションの傑作。「ファイア・フォックス・ダウン」という「ファイア・フォックス」のエンディング直後から始まる続編があり、こちらも面白い。映画の特殊撮影は、昔観たときは凄いと思ったものですが...今観るとどうでしょうか。
ボーン・コレクタージェフリー・
ディーヴァー
ボーン・コレクター
(1999)
ハズレなしの"リンカーン・ライム・シリーズ"第一作。ディーヴァーも、新作が出れば必ず読む作家のひとり。映画はほとんど記憶に残っていません。
ホット・ロックドナルド・E.
ウエストレイク
ホット・ロック
(1972)
なぜかいつもうまくいかない泥棒、"ドートマンダー・シリーズ"の第一作。とぼけた味わいとギャグは最高です。現在、本作は復刊されてますが、一時絶版になっていて、読みたいのになかなか入手できず苦労しました。映画は先日NHK BSで放映していたものを録画済。観るのが楽しみです。
ボビーZの気怠く
優雅な人生
ドン・ウィンズロウ ボビーZ
(2007)
ウィンズロウはもうずいぶん新作が出ていない気が...少年の成長物語、"二−ル・ケアリー・シリーズ"がベストですが、この作品をはじめとする単発モノもすべて面白い。ウィンズロウ作品の翻訳はほとんどが東江一紀という人なのですが、、この人の翻訳作品はほとんどハズレなしです。訳者を信用して読む本を選ぶことができるというめずらしいケースです。
本命ディック・
フランシス
大本命
(1974)
元騎手の冒険小説作家、ディック・フランシスの傑作競馬小説のひとつ。もっとも好きな作品は「興奮」です。映画化できそうな作品が山ほどあるにも係わらず、本作しか映画化されてないようです。
マッキントッシュの男デズモンド・
バグリイ
マッキントッシュの男
(1973)
バグリイからひとつ、となると、スパイ小説の本作か、山が舞台の冒険小説「高い砦」。アメリカにいるころ、シカゴからニューヨークへの長旅中にアムトラックの中で読んだ覚えがあります(「ミッドナイト・ラン」の末尾参照)。
マッシュリチャード・フッカーM*A*S*H
(1970)
朝鮮戦争を舞台にした反戦小説。高校生の頃に読んだのですが、登場人物たちに感情移入しすぎてしまい、読み終わるのが惜しくてしかたなく、数十ページを残して、しばらく時間を置いた覚えがあります。「続・マッシュ」という続編もあって、つい最近古本を入手。もったいなくてまだ読んでません。ロバート・アルトマンが監督した映画も最高です。
マラソン・マンウィリアム・
ゴールドマン
マラソン・マン
(1976)
「マッキントッシュの男」と同様、シカゴ発ニューヨーク行きのえんえん20時間近い列車旅行のあいだに読んだ本。ナチの残党を扱った傑作スリラーです。ジョン・シュレンジャーが監督した同名の映画でナチの残党の大物を演じたローレンス・オリビエが、「ブラジルから来た少年」ではナチ・ハンターを演じていて、比較して観ると味わい深いです。
ミザリースティーヴン・
キング
ミザリー
(1990)
これはコワかった!映画でミザリーを演じたキャシー・ベイツも最高のはまり役。キング小説のベストは「IT」(未映画化)、映画作品では「ショーシャンクの空に」。「シャイニング」は原作も映画も私にはいまひとつでした。
見知らぬ乗客パトリシア・
ハイスミス
見知らぬ乗客
(1951)
ハイスミスといえば「リプリー」...「太陽がいっぱい」の原作ですが、小説としてはこっちが好きです。ヒッチコックの映画ももちろんよくできてます。
南から来た男ロアルド・ダールフォー・ルームス
(1995)
正確には原作ではないのですが、タランティーノが監督した「フォー・ルームス」の最終話はこの小説のパロディ。私にとっての短編小説オール・タイム・ベストのひとつ。短編集「あなたに似た人」に収録されています。映画はいまひとつ楽しめませんでした。
モーターサイクル・
ダイアリーズ
エルネスト・
チェ ゲバラ
モーターサイクル・
ダイアリーズ(2004)
「チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記」改題。ゲバラ青春時代の南米放浪記です。「ゲバラ日記」も読みましたが、共感を覚えたのはこっちでした。ウォルター・サレス監督の同名の映画もロード・ムービーの大傑作。で、いよいよソダーバーグ監督の「チェ」が日本公開。楽しみです!
モンテ・クリスト伯アレクサンドル・
デュマ
モンテ・クリスト伯
(2002)ほか
つい数年前に読みました。全7巻。内容がかび臭そうで手が出なかったのですが...しかしこれが面白かった!デュマは「三銃士」も最高。小学生の頃に夢中になって読んだ覚えがあります。
闇の奥ジョセフ・コンラッド地獄の黙示録(1979)「地獄の黙示録」参照!
郵便配達は
二度ベルを鳴らす
ジェームス・ケイン郵便配達は二度ベルを
鳴らす(1942)ほか
ノワールの古典。小説を読み終わってしばらくしてから、タイトルの意味がわからないことに気がつきました(郵便配達は登場しない)。諸説あるようですが、いずれにしても、それほど感心させられるような意味があるわけでもないようです。ビスコンティの処女作もよかったです。
聊斎志異蒲松齢チャイニーズ・ゴースト・
ストーリー(1987)
中国版「今昔物語」。仙人やら幽霊やらが出てくる不可思議な伝承や昔話を山ほど集めた本。中学1年の夏休みにこれを読んで読書感想文書いた覚えがありますが、そういう宿題にまったく適さない超面白本でした。映画は未見です。
ロウフィールド館の
惨劇
ルース・レンデル 沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇(1966)文盲の家政婦が裕福な一家にもららす悲劇を描いた強烈なサスペンス。古本屋で入手してつい最近読んだばかりなのですが、ぜんぜん期待してなかった分、面白さ倍増でうれしくなりました。
わが心臓の痛みマイクル・コナリーブラッド・ワーク
(2002)
私にとって海外長編小説のオール・タイム・ベストのひとつ。マイクル・コナリーにハズレなし。新作をもっとも待ちわびてる作家のひとりで、とにかく全部読んでます。クリント・イーストウッドという監督は原作選びのセンスがとてもよい気がします。
わらの女カトリーヌ・アルレーわらの女
(1964)
フレンチ・ミステリーはあまり好みじゃないのですが、これは一読驚嘆した覚えがあります。本当によくできていました。映画は未見です。

以上、海外モノ60冊、次回は国内モノ40冊のご紹介です!



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コメント

[C62] うわー!すごい。

数に圧倒されました。

勿論、未見・未読の作品の方が多いのですが、

>サマセット・モームの「雨」

高校時代、実はよく解らないまま、
モームにはまっていたことを思い出しました。
映画で観たのは、1937年の「雨」ではなく、
こともあろうに、リタ・ヘイワースの「雨に濡れた欲情」でした…タイトルからして別物だとの匂いがプンプンだったので、痛手は蒙りませんでしたが。(笑)

>エミリー・ブロンテの「嵐が丘」

吉田喜重の作品や、海外ドラマなどで映像化されたものは何本か観た記憶があるのですが、
原作も、映像でも、私には、いまひとつピンと来ない、「不朽の名作」の一つです。
でも、つまらないとか、苦手という意識も湧かない不思議な作品です。
イギリス特有の、あの暗くて寒そうなムードが、結構好きなせいかもしれません。

>ジェイムズ・エルロイの「L.A.コンフィデンシャル」

ああ♪原作も映画も最高に好きです。
映画は、原作とはだいぶ違う筋立てになっていますが、気になりませんでした。
別々のものとしてそれぞれ楽しめてしまう作品です。

>それにしてもこの「情婦」という邦題、映画史上のワースト・ワンといってもいい罪深さ。いったい何を考えてこんな邦題にしたのでしょうか。

爆!
この作品も、好きですねー。

>エラリー・クイーンの「配達されない三通の手紙」

私もテレビの放映で観ました。
随分前にも関わらず、強烈に印象に残ってますね。
映画なのに、セットがなんか舞台ぽかった印象があります。
このタイトル、いいですよね。

>コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズの冒険」

NHKドラマは、日本語版の吹き替えも好かったですよね。
ついついハマって、全集買っちゃいましたもん。
PART1の時点で、諦めかけましたが、
PART2のボックスの中古が入手できたので。。。
ボックス、もっと安くしてくれー!

きりがないので、この辺で止めときますが、
トマス・ハリスや、ロアルド・ダールなど、
他にも好物がありました。

ロアルド・ダールは、12チャンネルなどで時々再放送されている海外ドラマ「予期せぬ出来事」の方が、「映像化」という感じはしますね。

あの、ゾクっとくる皮肉さ・意地悪さ、結構好きです。
  • 2009-01-10 07:12
  • シネマで現実逃避
  • URL
  • 編集

[C63] またまたいい企画でぇ〜

目を患ってから細かい字を読むのをひかえているのですが、読み止めることができませんでした。
このブログへの立ち寄りをひかえたほうがいいのかもしれません。
原作を読んで映画をみてないもの、大体は映画を見て原作を読んでないほうが多いことがわかりました。私も自分のペースで本を読むほうが好きかもしれません。
「麻雀放浪記」は映画があることを知りませんでしたがなぜかみたいとは想わないんですよ。

また面白い企画を楽しみにしています!
  • 2009-01-10 08:39
  • ヘルブラウ
  • URL
  • 編集

[C64] >ヘルブラウさん

リストの文字をもう少し大きくしたいのですが、すみません、スペースの都合でどうしても難しく。。。

「麻雀放浪記」、映画もよかったですよー。国内編で書くつもりですので、ひかえるなんておっしゃらずに、次回もどうぞお付き合いのほど(笑)。



[C65] >シネマで現実逃避さん

わはは、数で勝負、です!(笑)

「雨に濡れた欲情」って、名前聞いたことありましたが、「雨」が原作なんですね。しかし、いくら何でものタイトルですね。

恋愛モノって小説も映画も比較的縁が遠いのですが、「嵐が丘」は面白かったですですね〜。
私も、あの雰囲気とか荒野の自然描写がよかったです。

エルロイをお好きとはうれしい。「L.A.コンフィデンシャル」ってそんなに原作と映画違いましたっけ(笑)...映画を観て、あ、かなり小説の筋に忠実だな〜と思った記憶があったのですが、、、違う映画の記憶だったかも。


すごい、「シャーロック・ホームズの冒険」持ってるんですか!吹き替えは露口茂と長門裕之ですよね。懐かしいです。

ヒッチコック劇場で「南から−」がドラマ化されてるのは知ってたのですが、「予期せぬ出来事」というのは知りませんでした。ダール一色なんですね。これはちょっと観てみたい。








[C66] おつかれさまです〜

本当にすごい量ですね〜。
こうしてみると、原作のある映画って意外と多いものなんですね。映画の方は観たことあるものがちらほらあるんですが、原作の方は残念ながらひとつもありませんでした。
学生の頃は図書室好きだったので、アガサ・クリスティーのポワロシリーズとか(TVドラマではまりました)、東野圭吾さんの作品をよく読んでたんですけど、好きな作家ができるとそればっかり読んでたから・・・。こうやって”映画の原作”でまとめると、偏りなく読めて良いですね。

最近はめっきり本を読まなくなったんですが
 >最高に面白い小説を読みながら、自分の想像力のまま、脳内で勝手に作り出した世界にひとときを過ごす

この言葉で、想像力に急かされるように文字を追ったあの時の感覚が蘇えってきました。今日は家で埋もれた本を掘り出してみようかと思います。

最後に、私のブログからこちらにリンクさせても頂いてよろしいでしょうか?
リンクに関する記載がなかったので迷ったんですが、もし良かったらお願いします。
  • 2009-01-10 19:09
  • 宵乃からす
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  • 編集

[C67] >宵乃からすさん

そうですね〜、原作だけじゃなくて原案が小説のものも含めると、かなりの割合になるんじゃないかと思います。

私の学校の図書館にもポワロ・シーズがずらりと置いてあって、かなり夢中になって読んだものです。東野圭吾も上手な作家ですよね。「白夜行」がいちばん好きかな。。。それまで読んだことのあった東野作品と作風がかなり違っていたので、びっくりした覚えがあります。

私も実はこのブログを始めて以来、めっきり読書の時間が減ってしまいました(笑)。読むのも楽しいですが、書くということもけっこう楽しいものですね。

ありがとうございます、リンクもちろんOKです。
こちらからも、リンクさせていただきますね!

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今年はもう仕事せずにとことん好きなことをやりたおしてしまおうかな、などと不埒なことを妄想する今日この頃。

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