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[C3] はじめまして。

モノクロのイラスト。インパクトがあって凄く素敵です。
第三の・・・いいですよね。音楽もすぐ頭の中に流れてきます。♪
オーソン・ウェルズわずか10分くらいしか出てなかったのですね。
クライマックスの地下の排水溝?影を追うシーンの撮り方なんか良かったです。
(アングルって言うのでしょうか)

あとブレードランナー、設定された未来に圧倒されました。
私も劇場で観ましたが、何版だったのでしょう。?
核爆弾か何か???の影響でずっと雨が降っているのですよね。

楽しく拝見しました。また伺います。


[C5] >whitypearlさん

ありがとうございます。
ウェルズの登場時間、時計で計ってみたので間違いなしです(笑)。
ブレードランナーはあの雨が独特の雰囲気作りに大きく貢献してますよね!
  • 2008-11-29 16:15
  • Mardigras
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[C660] あきれた

よくこんなに長々と書けますね!
読む方の身にもなれよ!
  • 2010-10-31 02:46
  • 疲れた
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[C661] >疲れたさん

すみません、お叱りのことば、まことにごもっともです...
にもかかわらず読んでくださって、本当にありがとうございました!

[C936] モノクロの傑作!

 mardigrasさん、こんばんは。

仰るようにハリーが始めて画面に映し出される、あのシーンは、どんなに絶賛しても、し尽くせないと思います。
シチュエーション、カメラの角度、ハリーの浮かび上がった顔。
溜息が出るばかりです。

野暮で鈍感なアメリカ人>J・コットンは一世一代と言ってもいいくらいの好演だと思いますけど、役が「野暮で鈍感なアメリカ人」ですから、上手く演じれば演じる程、冴えない男になっちゃう。
ちょっと可哀そうかもしれません。
講演会で、どんどん席を立たれる所なんか、イギリス人リードの皮肉な目を感じてしまいます。

再現不可能な「第三の男」の映像>あのウィーンの映像と黒澤監督の「野良犬」、「酔いどれ天使」の映像は、
どう逆立ちしても無理だと思います。
あの時代あっての映像。

英語は恥ずかしいくらい駄目なのですが、この映画の「クッククロック」と「バル~ン」は耳にこびり付いて一生離れないと思います。


[C939] >鉦鼓亭さん

コメントありがとうございます!

あの場面はホント、この作品においてだけでなく、映画史上に残る屈指の名場面ですよね~!ネコの演技(?)も奇跡的で、ままならない動物を、ドラマの伏線としてここまで効果的に活かした例も稀ではないでしょうか。

ラストでアンナに無視されたホリーが、カッコつけた立ち姿のままで一服つけますが、おっしゃるとおり、間抜けを最後まで間抜けに演じきって、まさに一世一代の名演技だと思います。

おお、「第三の男」の再現不可能な映像に対照する日本映画といえば「野良犬」「酔いどれ天使」、、、というのは、映像に記録された時代風俗と風景が作品の主役でもあるという意味において、まさに我が意を得たり、のご意見です(「白痴」も加えたいです)!

バル~ンは名セリフですよね~(笑)。場面の映像が、チターの響きとともに蘇ってきます。実はこの記事を書いたとき、あのお爺さんを(「バル~ン?」の一言を添えて)描こうとしたんですけど、うまく描けなくて諦めたんですよ。。。
  • 2012-06-10 23:04
  • Mardigras
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[C969] 管理人のみ閲覧できます

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[C970] >鍵コメkさん

コメントありがとうございます!
「第三の男」の鳩時計のセリフ、、、寡聞にして知りませんでした。えーっ、そうだったの!?という感じです。神話とか伝説は、こうして作られていくのですね。。。
歴代最優秀助演賞、、、あまり考えたことありませんでしたが、考え出すとけっこう楽しめそうです。kさんの挙げられた作品と役者、それぞれ頷くばかりです。相乗効果と相加効果、なんとなくですけどおっしゃることのニュアンスはわかる気がします。「レベッカ」は、確かに究極ですね。助演賞ではなくて、この際主演女優賞でもいいかもしれません。。
  • 2012-12-16 10:51
  • Mardigras
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[C990]

「弟三の男」練られたセリフが天下一品。

一冊の心理哲学書を読んだような充実感があるのは、登場人物のゆるぎないセリフ、人物造形、おとこの友情と男女の愛の複雑さ。
サスペンスというよりも、心理映画というような性格である。

[C993] >根保孝栄・石塚邦男さん

ホント、端から端まで隙のない映画ですよね~。
ホリーにとっては、悪行に手を染めたハリーの心やハリーに思いを残すアンナの心こそ、最後まで理解できない最大のなぞだったのであり、おっしゃる通り、「第三の男」は人間心理を描いたドラマとしても極上だと思います。
  • 2013-03-17 19:25
  • Mardigras
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[C994]

弟三の男・・・・

死すの民主主義は何を生んだか?鳩時計くらいだ・・

ハリーがホリーに皮肉に言うせりふが印象的。ウイーンの戦後の町の雰囲気と人影の陰影が印象的な傑作でしたね。

[C1000] >根保孝栄・石塚邦男さん

鳩時計のセリフは、内容といい、機知といい、またそのしゃべり方といい、キャラクターの性格がずばり伝わってきて、何度観てもホントにすごい!と思います。

セリフ、ロケーション、照明、、、なにもかもが印象的な映画ですよね。
  • 2013-03-24 10:02
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第三の男

リメイク不能なサスペンス
「第三の男」のイラスト(オーソン・ウェルズ)

ロット、セリフ、キャスト、ロケーション、カメラ、照明、美術、音楽――卓越した要素の相乗効果で生まれた、奇跡のスリラー。もっとも好きな映画を一本、と言われれば、キャロル・リードの「第三の男」(1949)。これはもう、どこをとっても完璧な映画ではないでしょうか。この映画の何が好き、というより、観るたびその完全無欠さに畏敬の念を覚えてしまう、映画好きの端くれとして、とにかくリスペクトせずにはいられない映画です。

私がこの映画を初めて観たのは、高校三年の春。場所は、今はなきテアトル吉祥寺。土曜日の授業が終わった後、友だち数人と連れ立って観に行きました。セルジオ・レオーネの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984)との二本立てで、そもそものお目当てはこちら。しかも、この3時間を越える大作の上映がまず先で、観終わったあとは、相当疲れていたはずなのですが――しかし、"ハリー・ライムのテーマ"にあわせてツィターの弦が震えるタイトルバックが始まると、あっ、この音楽ってこの映画だったの!?と、その耳に馴染みのあるメロディに、たちまちスクリーンに引き込まれてしまったことを覚えています。


「第三の男」のあらすじ(以下ネタバレ)

ラマの舞台は、第二次大戦終結直後、米英仏ソ四カ国による分割統治下のオーストリア、ウィーン。主人公は、アメリカ人の売れない三文小説家、ホリー・マーチンス。彼は、学生時代の旧友、ハリー・ライムの招きに応じ、仕事を求めてはるばるウィーンを訪れます。

ところがホリーを待ち受けていたのは、ハリーが自動車事故で死亡したというニュース。折りしも執り行われていた葬儀に立ち会った彼は、居合わせたイギリス軍のMP、キャロウェイ少佐から、ハリーが悪質な闇商売にたずさわっていたと聞かされます。旧友の醜聞を信じることができず、またその死因に不審を感じた彼は、キャロウェイに対する反撥心も手伝って、独自に調査を始めます。

ホリーは、ハリーの友人と称するクルツ男爵に面会します。クルツは、彼ともうひとりの友人が事故現場に居合わせ、ハリーの最期を看取ったと語ります。しかし、ハリーの恋人だったアンナとともに事故現場を訪れたホリーは、たまたま事故を目撃したというハリーのアパートの管理人から、事故直後の現場には、二人ではなく三人の男がいたことを訊き出します。ホリーは、ハリーの死が謀殺だったと確信し、さらに調査を続ける決意を固めます。ところがそんな矢先、アパートの管理人が不審死を遂げ、また自らも得体の知れない男たちから襲撃を受け、夜の街を命からがら逃げ回る羽目になります。

身の危険を感じたホリーは、キャロウェイを訪ね、ハリーの死が殺人であったと訴えます。しかしキャロウェイは、そんなホリーに、ハリーの商っていた闇商品が水増ししたペニシリンだったこと、そしてその劣悪な薬によって、多くの子供たちの命が犠牲となったことを語って聞かせます。数々の証拠を見せられ、ホリーはとうとう、ハリーが卑劣な犯罪者であったという事実を受け入れます。

意気消沈し、帰国を決心したホリーは、その夜、いつしか恋情を抱きはじめていたアンナに別れを告げるため、彼女のアパートを訪れます。ところがそんな彼の前に、ついに闇の中から"第三の男"が姿を現します。それはなんと、自動車に轢かれて死んだはずの友人、ハリーでした――。

――とまあ、スパイ小説の大家、グレアム・グリーンの手掛けたシナリオは(のちに、同名の小説を上梓)、優れたミステリの常道に則り、冒頭から、ケレン味のある魅力的なナゾを提示すると、テンポのよい、メリハリの効いた展開でもって、クライマックスまでの1時間44分を、ぐいぐいと引っ張っていきます。冷静に振り返ってみると、突っ込みどころがなくもない筋立てではありますが、よくできたサスペンス映画のならい、スリルの途切れない展開に、観ているあいだはそんなこと、これっぽっちも気になりません。



再現不可能な映像、変幻自在のカメラワーク

い石造りの街並のそこかしこに積み重なる、瓦礫の山また山――。戦火に荒廃したウィーンの市街地でロケ撮影された、「第三の男」のドキュメンタルな映像は、圧巻のひとことです。それは、どんなセットをもってしても再現不可能な、真の歴史の一コマを後景にした、そして映画のかたちでもって永遠にフィルムに定着させた、いわば貴重な映像遺産というべきものです。

廃墟、崩壊した石畳、人気の絶えた深夜の広場を睥睨するグロテスクなガーゴイル――光と陰のコントラストに彩られた楽都の情景には、人類の悲劇と愚行の残像が透かし絵のように浮かび上がり、その一方で確かな復興の芽吹きが感じられもして、その映像に撮り込まれた死と再生のリアリズムに、溜息がでます。

変幻自在のカメラワークが捉えた、平衡感覚を狂わされそうになる斜角のショットには、言葉もままならない異国の地で、主人公が味わう不安感と不信感が迸り、一度見たら忘れることのできない、鮮烈な印象を残します。そして、そんなケレン味たっぷりの構図で切り取られた映像の一コマ一コマは、額縁に入れて飾りたくなるほどに、美しい。

「第三の男」は、映画はカラーが当たり前と思っていた高校生の私に、モノクロ映像の、そしてクラシックフィルムの素晴らしさを教えてくれた映画でもあります。



「第三の男」の血流、アントン・カラスのチター

ラマの展開に合わせ、鑑賞者の感情を自在にコントロールするかのごとく奏でられる、アントン・カラスが爪弾くチターの調べ。ときに甘く軽やかに、ときに切なく感傷的な音色には、ホント、何度聴いてもうっとりさせられます。そしてサスペンスフルな場面で激しく掻き鳴らされる、荒々しい弦の響きのなんとスリリングで、ショッキングなことよ。

この映画の音楽をどうするか悩んでいたキャロル・リードは、撮影開始の四日前、ウィーンのホイリゲ(居酒屋)で、アントン・カラスの演奏するチターを耳にし、"「この音楽だ!」と稲妻のごとく心の中で閃いた"そうです(アントン・カラスの長女、ウィルへルミネ・チューディックの証言。内藤敏子著「「第三の男」誕生秘話-チター奏者アントン・カラスの生涯」より)。

撮影終了後、ロンドンに招かれたアントン・カラスは、監督の自宅に滞在し、三ヶ月以上にわたる難産の末に、"ハリー・ライムのテーマ"を含む多くの楽曲を作曲、やがて仕事場を映画スタジオに移すと、監督とともに場面場面に合わせて録音を進め、結局、彼のロンドン滞在は、映画のプレミア試写会の翌日まで、なんと半年間にも及んだそうです。

よい映画には、たいていよい音楽がつきものですが(「番外編: いとしの映画音楽」参照)、「第三の男」ほど、映像と音楽が分かちがたく結びついた映画は、滅多にありません。「第三の男」といえばチター、チターといえば「第三の男」。この映画の映像を肉体に例えれば、アントン・カラスの爪弾くチターの調べは、身体の隅々まで張りめぐらされた血管のよう。この映画の生は、このメロディあってこそのものでしょう。



希代の怪人、ハリー・ライム

ーソン・ウェルズが演じる、というよりオーソン・ウェルズが創りだしたというのが相応しい、ハリー・ライムという希代の怪人物の人物造形には、何度観ても、ぞくぞくさせられます。悪ガキが、そのまま大人になったような、どこか甘えの滲む憎めない貌つきは、これぞまさしく、"人たらし"。

ドラマの中盤、物陰に隠れたハリーの足元に猫がじゃれつき、その異相が暗闇に浮かび上がる瞬間は、この映画の最初のハイライト。まるで悪戯を見つけられた子供のように、上目遣いでニヤッと笑ってみせる表情が魅力的で、もう一瞬にして、この信用ならない極悪人の虜になってしまいます。

104分にわたる上映時間の中で、オーソン・ウェルズの出番は、驚くことに、ほんの10分足らずに過ぎません(実際に計ってみた)。にもかかわらず、なんという存在感。オーソン・ウェルズは、このたった10分間でもって、映画のすべてを掻っさらっていきます。

その数少ない登場場面のひとつ、ハリーとホリーが公園で会合する場面は、まさにオーソン・ウェルズの独壇場。絢爛たるアフォリズムに彩られた、この映画のハイライト中のハイライトです。

水増ししたペニシリンを市場に流し、大勢の罪なき子供を犠牲にした非道をホリーに詰られ、ハリーは、観覧車の高みから地上の人々を見下ろし、こううそぶきます。

「あのケシ粒のひとつ、ふたつがこの世から永遠に消えたからといって、いったい何が悲しいってんだ?あれをひとつ消すごとに2万ドルが手に入るとする。お前はそれを断るってのか?あといくつ消すことができるか、数えてみようとは思わないのか」

「人類のことなんて誰もかまっちゃいない。政府ですらそうなのに、なんで俺達が気にしなきゃならないんだ」

また自らの行為を正当化し、こんなことを口にします。

「ボルジアの支配下にあった30年間、イタリアでは戦火が絶えず、テロや殺人の流血沙汰が日常茶飯事だった。だが一方でミケランジェロやダ・ビンチといった偉大な芸術家が生まれ、ルネサンスが花開いた。ところが500年も平和と民主主義の続いた同胞愛の国スイスがいったい何を生み出したというんだ?せいぜいハト時計だろ」

「第三の男」のイラスト(オーソン・ウェルズとジョゼフ・コットン)この、映画史上に残る名セリフ、もともとシナリオにあったものではなく、オーソン・ウェルズが撮影現場で提案したものとされています。

「第三の男」から遡ること二年、チャールズ・チャップリンの「殺人狂時代」(1947)が公開されています。この映画で、チャップリンは、金のために次々と未亡人を殺す青髭に扮し、終盤、逮捕されたこの殺人者に、「私の殺人はビジネスだ。世界中の大事業の歴史をみてみろ。戦争、闘争...みんなビジネスじゃないか。一人を殺せば悪党だが、百万人を殺せば英雄と呼ばれる。数が殺人を神聖化するわけだ」と言わせ、痛烈な戦争批判を行っています。

金のためなら人が死んでもかまわない、というハリー・ライムの身勝手なロジックは、「殺人狂時代」における、殺人者の開き直った捨てゼリフに通じるところがあります。「第三の男」という優れたスリラーに、戦争批判のような政治性は一切感じませんが、「殺人狂時代」の原案がオーソン・ウェルズである(とされている)ことを考え併せると、希代の悪党、ハリー・ライムのセリフには、単なる気の利いたレトリックである以上の含みを感じてしまったりもします。



野暮で鈍感なアメリカ人、昔はさっぱりわからなかったアンナの心

方、ハリー・ライムとは対照的な"善きサマリア人"、ホリー・マーチンス。登場人物の中で唯一、戦争の影を感じさせない、この、アメリカ人の小説家が、戦禍の犠牲となった街と人を本質的に理解できない、鈍感な人間として描かれていることには、イギリス人であるグレアム・グリーンの、アメリカ人に対する揶揄を感じずにはいられません。

現実の世界でも、"いい人"と評される人ほど、つまらなくてうっとおしくて魅力がなかったりするものですが、善意で動けば動くほど空回りする、お節介で野暮でひとりよがりのホリーは、たとえ二枚目のジョゼフ・コットンが演じていても、最後の最後まで、徹底的に間抜けです。

そして、そんなホリーが岡惚れしてしまう、アリダ・ヴァリ演じるハリーの情婦、アンナ。ハリーが死んだと思い込んでいた彼女は、「ハリーを愛していたのか」とホリーに尋ねられ、その複雑な感情を、こんな風に表現します。

「もう過去のことだからわからない。でも私も死んでしまいたい」

そして、ハリーが実はまだ生きていて、その正体が極悪人だったと知ったあと、まだハリーに未練があるのかと問われ、こんなひとこと。

「まったくないし、会いたいとさえ思わない。でも彼はいまでも私の一部なの」

男の正体を知り、しかも自分に対する愛情のいったいどこまでが真剣だったのかすらわからなくなってなお、男に想いが残る女心、そして矜持。正直、高校生の頃はさっぱり理解できず、つまり要するに、あの有名なラストシーンの味わいも、わかったようでわかっていなかったというわけですが、しかしあれから幾星霜、男と女はこういうものだということが、少しは理解できるようになった気のする今日この頃です。



いつか行きたや、「第三の男」のロケ地めぐり

大な彫像がエントランスを飾る、ハリーのアパートメント(ヨーゼフ広場のパラヴィッチーニ宮殿)。ホリーが滞在する、英国軍接収のホテル(ザッハートルテで有名なホテル・ザッハー)。ホリーとクルツが待ち合わせるカフェ(カフェ・モーツアルト。ただし、実際のロケ地は別。バブル華やかなりし頃、カフェ・モーツアルトを日本の百貨店が買ったなんてニュースを仄聞した覚えがありますが、その後、どうなったのでしょう)。アンナの出演していた劇場(ヨゼフシュタット劇場)。ハリーと友人たちが会合する吊橋(ドナウに架かるライヒスブリュッケ)。ハリーの顔が暗闇に浮かび上がる物陰(ウィーン大学旧館近くの路地)。ハリーとホリーが出会う、遊園地の観覧車(プラター公園)。ハリーを待ち伏せする警官隊の前に、風船売りの巨大な人影が伸び縮みする広場(ミヒャエル広場)。クライマックスの逃亡劇が繰り広げられる、迷路のような下水道。そして、ホリーがアンナに思い切りシカトされる、墓地の並木道(中央墓地)――。

訪れてみたい映画のロケ地は数あれど、「第三の男」に出てくるウィーンほど、強く惹かれる場所はありません。戦火に荒廃した街並みはもはや遠い昔であるにしろ、さすが、石造りの都。上記に列挙した、映画の象徴ともいうべきモニュメンタルな建造物とランドスケープは、今なお、当時の面影を残しているようです。下水道をはじめ、映画ゆかりの地をめぐるツアーもあるようで、ウィーンを訪れる機会があれば、ぜひ参加してみたいと思っています。

*       *        *

スリル、サスペンス、アクション。一目観たら忘れられない映像。一度聴いたら忘れられない音楽。いつまでも記憶に残るキャラクターと名ゼリフ。月並みな言い草ながら、「第三の男」は、映画のあらゆる魅力が詰め込まれた、まさに映画の中の映画です。人類史上最大の戦争なくして生まれ得なかった「第三の男」は、いみじくもハリー・ライムの云うルネサンスの偉大な芸術作品と同じように、きっとこの先何百年も、人々に愛され続けるのではないでしょうか。



第三の男(原題: The Third Man
製作国 : イギリス
公開: 1949年
監督: キャロル・リード
製作: キャロル・リード/デヴィッド・O・セルズニック/アレクサンダー・コルダ
脚本: グレアム・グリーン
出演: ジョゼフ・コットン/オーソン・ウェルズ/アリダ・ヴァリ/トレヴァー・ハワード
音楽: アントン・カラス
撮影: ロバート・クラスカー
編集: オズワルド・ハーフェンリヒター


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[C3] はじめまして。

モノクロのイラスト。インパクトがあって凄く素敵です。
第三の・・・いいですよね。音楽もすぐ頭の中に流れてきます。♪
オーソン・ウェルズわずか10分くらいしか出てなかったのですね。
クライマックスの地下の排水溝?影を追うシーンの撮り方なんか良かったです。
(アングルって言うのでしょうか)

あとブレードランナー、設定された未来に圧倒されました。
私も劇場で観ましたが、何版だったのでしょう。?
核爆弾か何か???の影響でずっと雨が降っているのですよね。

楽しく拝見しました。また伺います。


[C5] >whitypearlさん

ありがとうございます。
ウェルズの登場時間、時計で計ってみたので間違いなしです(笑)。
ブレードランナーはあの雨が独特の雰囲気作りに大きく貢献してますよね!
  • 2008-11-29 16:15
  • Mardigras
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[C660] あきれた

よくこんなに長々と書けますね!
読む方の身にもなれよ!
  • 2010-10-31 02:46
  • 疲れた
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[C661] >疲れたさん

すみません、お叱りのことば、まことにごもっともです...
にもかかわらず読んでくださって、本当にありがとうございました!

[C936] モノクロの傑作!

 mardigrasさん、こんばんは。

仰るようにハリーが始めて画面に映し出される、あのシーンは、どんなに絶賛しても、し尽くせないと思います。
シチュエーション、カメラの角度、ハリーの浮かび上がった顔。
溜息が出るばかりです。

野暮で鈍感なアメリカ人>J・コットンは一世一代と言ってもいいくらいの好演だと思いますけど、役が「野暮で鈍感なアメリカ人」ですから、上手く演じれば演じる程、冴えない男になっちゃう。
ちょっと可哀そうかもしれません。
講演会で、どんどん席を立たれる所なんか、イギリス人リードの皮肉な目を感じてしまいます。

再現不可能な「第三の男」の映像>あのウィーンの映像と黒澤監督の「野良犬」、「酔いどれ天使」の映像は、
どう逆立ちしても無理だと思います。
あの時代あっての映像。

英語は恥ずかしいくらい駄目なのですが、この映画の「クッククロック」と「バル~ン」は耳にこびり付いて一生離れないと思います。


[C939] >鉦鼓亭さん

コメントありがとうございます!

あの場面はホント、この作品においてだけでなく、映画史上に残る屈指の名場面ですよね~!ネコの演技(?)も奇跡的で、ままならない動物を、ドラマの伏線としてここまで効果的に活かした例も稀ではないでしょうか。

ラストでアンナに無視されたホリーが、カッコつけた立ち姿のままで一服つけますが、おっしゃるとおり、間抜けを最後まで間抜けに演じきって、まさに一世一代の名演技だと思います。

おお、「第三の男」の再現不可能な映像に対照する日本映画といえば「野良犬」「酔いどれ天使」、、、というのは、映像に記録された時代風俗と風景が作品の主役でもあるという意味において、まさに我が意を得たり、のご意見です(「白痴」も加えたいです)!

バル~ンは名セリフですよね~(笑)。場面の映像が、チターの響きとともに蘇ってきます。実はこの記事を書いたとき、あのお爺さんを(「バル~ン?」の一言を添えて)描こうとしたんですけど、うまく描けなくて諦めたんですよ。。。
  • 2012-06-10 23:04
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[C970] >鍵コメkさん

コメントありがとうございます!
「第三の男」の鳩時計のセリフ、、、寡聞にして知りませんでした。えーっ、そうだったの!?という感じです。神話とか伝説は、こうして作られていくのですね。。。
歴代最優秀助演賞、、、あまり考えたことありませんでしたが、考え出すとけっこう楽しめそうです。kさんの挙げられた作品と役者、それぞれ頷くばかりです。相乗効果と相加効果、なんとなくですけどおっしゃることのニュアンスはわかる気がします。「レベッカ」は、確かに究極ですね。助演賞ではなくて、この際主演女優賞でもいいかもしれません。。
  • 2012-12-16 10:51
  • Mardigras
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[C990]

「弟三の男」練られたセリフが天下一品。

一冊の心理哲学書を読んだような充実感があるのは、登場人物のゆるぎないセリフ、人物造形、おとこの友情と男女の愛の複雑さ。
サスペンスというよりも、心理映画というような性格である。

[C993] >根保孝栄・石塚邦男さん

ホント、端から端まで隙のない映画ですよね~。
ホリーにとっては、悪行に手を染めたハリーの心やハリーに思いを残すアンナの心こそ、最後まで理解できない最大のなぞだったのであり、おっしゃる通り、「第三の男」は人間心理を描いたドラマとしても極上だと思います。
  • 2013-03-17 19:25
  • Mardigras
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[C994]

弟三の男・・・・

死すの民主主義は何を生んだか?鳩時計くらいだ・・

ハリーがホリーに皮肉に言うせりふが印象的。ウイーンの戦後の町の雰囲気と人影の陰影が印象的な傑作でしたね。

[C1000] >根保孝栄・石塚邦男さん

鳩時計のセリフは、内容といい、機知といい、またそのしゃべり方といい、キャラクターの性格がずばり伝わってきて、何度観てもホントにすごい!と思います。

セリフ、ロケーション、照明、、、なにもかもが印象的な映画ですよね。
  • 2013-03-24 10:02
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管理人: mardigras
「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観てきました。もちろん吹替版で。いや~、面白かった!

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ツィゴイネルワイゼン
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復讐するは我にあり
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男はつらいよ 寅次郎忘れな草
男はつらいよ 寅次郎相合い傘
男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花
武蔵野夫人
仁義なき戦い
麻雀放浪記
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丹下左膳餘話 百萬兩の壺
夜叉
劔岳 点の記
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第三の男
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パルプ・フィクション
アパートの鍵貸します
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