
「ハメット」(1982)、「上海から来た女」(1947)、「幸せのちから」(2006)、「ゲーム」(1997)、「プレシディオの男たち」(1988)、そして「チャイナタウン」(1974)...ジャンルもテーマもばらばらのこれらの映画には、実はひとつの共通点があります。
そう、もうおわかりですね。それはどの映画にも、サンフランシスコのチャイナタウンが登場すること...などとブログに書こうと思いながら映画を観はじめたのですが、よく考えたら「チャイナタウン」のチャイナタウンはロサンゼルスのチャイナタウンでした。しかもこの映画、「チャイナタウン」というタイトルでありながら、チャイナタウンはほとんど登場しません。主人公の私立探偵が、かつて警官だった頃の担当地区がチャイナタウンで、そこで学んだ教訓(というか諦観)が、この映画のストーリーと重なってくる...というわけで、このタイトルなのですね。ところで、ロスのチャイナタウンってどこよ...?
(以下ネタばれ)
この映画、今回で観るのは三回目。印象的な場面の多い映画ですが、不思議なくらい、観てしばらくすると主筋を忘れてしまうところがあって(バカ?)、今回も、かなりまっさらな気分で映画に臨みました(真犯人すら覚えていなかった)。ちなみに初鑑賞のときの強烈なショックが忘れられず、観るたびに、そろそろか?と緊張してしまうのが、ジャック・ニコルソン演じる主人公の私立探偵が、ダムサイトでゴロツキにナイフを鼻に突っ込まれ、シュッと薙ぎ払われて血塗になる場面。いや~、何度観ても痛そう..."リアルな痛みを感じさせる映画のワンシーン"ベストテンに間違いなく入る感じ。そんなわけで、私にとって「チャイナタウン」といえば、まずはなんといっても、この鼻切り場面。
もうひとつ、これまでの鑑賞では、名演といわれるこの映画のジョン・ヒューストンがいまひとつぴんとこなくて、正直、そんなにいいか?と思っていたのですが、今回初めて、その"名演"っぷりが少し理解できたように思います。今までは、そのオオサンショウウオのような大口とヌラヌラとした笑顔にひたすら気持ち悪さを感じていただけだったのですが(ラストの娘を抱きしめようとするシーン、うっときます)、なんというか、三度目でようやく、巨悪の凄みが伝わってきたというか。そして、この老人に対する嫌悪感、正直、この映画の監督に対する印象に通じるものがあったりするのですね...
ちなみにイラストは、主人公の探偵が、この老人を訪ねて食事する場面。探偵の雇い主はこの老人の娘なのですが――老人と探偵の会話。
「おまえさんはわしの娘と寝てるのかね」
「知りたければうちの助手を張り込ませましょうか」
そんな気の利いたセリフの多い映画ですが、正直、DVDの字幕がいまひとつで、"中国式夫婦の倦怠解消法"ジョーク"しかり、その面白さがわかりにくいところがあったような気がしました。
チャイナタウン(原題: Chinatown)
製作国 : 米国
公開: 1974年
監督: ロマン・ポランスキー
製作: ロバート・エヴァンス
脚本: ロバート・タウン
出演: ジャック・ニコルソン/フェイ・ダナウェイ/ジョン・ヒューストン
音楽: ジェリー・ゴールドスミス
撮影: ジョン・A・アロンゾ
編集: サム・オスティーン
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ジョン・ヒューストンってホント俳優だけでも食べていけたでしょうね~?
昨日見た映画がたまたま「王になろうとした男」やっぱり大監督だと思いました。
>老人に対する嫌悪感、正直、この映画の監督に対する印象に通じるものがあったりするのです...
この映画は脚本が良くて、監督と脚本家と製作者の皆で酔いしれている特典映像を見ましたが、やはりあのお気の毒な事件の事も考えると、仕方ない人だなぁ・・・位でおさめたいような気がしますが・・
それから、中国式・・・の事は、今も全然分かっていません。一体どういう意味だったのでしょう?mardigrasさんは字幕ではなく、言葉でお分かりですよね?もし良かったら教えてくださいネ~!
では、今回も有難うございました。色々な感想の出てくる作品だと思いますので、皆さんのレビューが楽しみです☆